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通達:作業環境評価基準の適用について

 

作業環境評価基準の適用について

昭和63年9月16日基発第605号

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

 

作業環境評価基準(昭和六三年労働省告示第七九号)は、昭和六三年九月一日公布され、同年一〇月一日から適用されることとなつた。

作業環境測定の結果の評価に基づく作業環境管理については、昭和五九年二月一三日付け基発第六九号通達において「作業環境の評価に基づく作業環境管理要領」を示し、推進してきたところであるが、先の第一一二通常国会において成立した労働安全衛生法の一部を改正する法律(昭和六三年法律第三七号)において、作業環境測定の結果の評価等に関する条項が新たに規定された。本基準は、これに伴い、改正後の労働安全衛生法第六五条の二(作業環境測定の結果の評価等)の規定に基づき、前記要領の内容を基本として制定されたものである。

ついては、左記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。

なお、本基準の適用をもつて昭和五九年二月一三日付け基発第六九号通達は廃止する。

 

第一 基本的事項

事業者が行う作業環境管理の適切かつ有効な実施を図るためには、有害物質の製造、取扱い等を行う作業場所について作業環境測定を行い、その結果に応じた適切な措置を講ずることが必要である。

本基準は、有機溶剤、鉛、特定化学物質等又は粉じんに係る作業場における作業環境管理の良否を判断するための具体的かつ客観的な基準を示したものである。

なお、本基準による評価を行うに当たつては、作業環境測定基準(昭和五一年労働省告示第四六号)に従つて行われた作業環境測定の結果を用いることが必要である。

 

第二 細部事項

一 第二条関係

(一) 「第一管理区分」とは、当該単位作業場所のほとんど(九五%以上)の場所で気中有害物質の濃度が管理濃度を超えない状態であり、作業環境管理が適切であると判断される状態をいうものであること。

(二) 「第二管理区分」とは、当該単位作業場所の気中有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えない状態であるが、第一管理区分に比べ、作業環境管理になお改善の余地があると判断される状態をいうものであること。

(三) 「第三管理区分」とは、当該単位作業場所の気中有害物質の濃度の平均が管理濃度を超える状態であり、作業環境管理が適切でないと判断される状態をいうものであること。

(四) 本条各号の表の意味を図示すると、次のようになること。

イ A測定のみを実施した場合

A測定

第一評価値<管理濃度

第二評価値≦管理濃度≦第一評価値

第二評価値>管理濃度

第一管理区分

第二管理区分

第三管理区分

ロ A測定及びB測定を実施した場合

 

A測定

第一評価値<管理濃度

第二評価値≦管理濃度≦第一評価値

第二評価値>管理濃度

定測B

B測定値<管理濃度

第一管理区分

第二管理区分

第三管理区分

管理濃度≦B測定値≦管理濃度×一・五

第二管理区分

第二管理区分

第三管理区分

B測定値>管理濃度×一・五

第三管理区分

第三管理区分

第三管理区分

二 第二条第一項第一号関係

(一) 「A測定」とは、作業環境測定基準第二条第一項第一号から第二号までの規定により行う測定、すなわち単位作業場所における気中有害物質の平均的な状態を把握するための測定をいうこと。

(二) 「管理濃度」とは、作業環境管理を進める過程で、有害物質に関する作業環境の状態を評価するために、作業環境測定基準に従つて単位作業場所について実施した測定結果から当該単位作業場所の作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標であり、学会等の示す暴露限界及び各国の暴露の規制のための基準の動向を踏まえつつ作業環境管理技術の実用可能性その他作業環境管理に関する国際的動向等をもとに、作業環境管理の目的に沿うよう行政的な見地から設定したものであること。

なお、管理濃度は測定値を統計的に処理したものと対比すべきもので、個々の測定値と直接対比することはできず、個々の労働者の暴露濃度と対比することを前提として設定されている暴露限界(日本産業衛生学会の「許容濃度」、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)のTLV―TWA等)とは異なるものであること。

(三) 「評価値」とは、第一評価値及び第二評価値をいうものであること。

(四) 「第一評価値」とは、単位作業場所において考え得るすべての測定点の作業時間における気中有害物質の濃度の実現値のうち、高濃度側から五%に相当する濃度の推定値をいうものであること。

(五) 「第二評価値」とは、単位作業場所における気中有害物質の算術平均濃度の推定値をいうものであること。

三 第二条第一項第二号関係

(一) 「B測定」とは、作業環境測定基準第二条第一項第二号の二の規定により行う測定、すなわち単位作業場所において、労働者が有害物質の発生源と共に移動する場合等A測定の結果を評価するだけでは労働者の有害物質への大きな暴露の危険性を見逃すおそれがあると考えられる作業が存在する場合に、当該単位作業場所について行うA測定を補完するための測定であること。

(二) 「二以上の測定点においてB測定を実施した場合」には、連続する二作業日に測定を行い、二以上のB測定値が得られた場合も含むものであること。

四 第二条第二項関係

「測定対象物の濃度が当該測定で採用した試料採取方法及び分析方法によつて求められる定量下限の値に満たない測定点」とは、当該測定で採用した試料採取方法及び分析方法では、測定値が求められない場合(定量不能、ND)を指すものであること。

五 第二条第三項関係

(一) 「測定値」には、前項の規定により測定値とみなすこととされた定量下限の値も含む趣旨であること。

(二) 「管理濃度の一〇分の一を当該測定値とみなす」場合は、単位作業場所において該当する測定値のすべてをそのようにみなすべきものであり、該当する測定値の一部だけを管理濃度の一〇分の一に置き換えることはできないものであること。

六 第二条第四項関係

「有機溶剤を二種類以上含有する混合物に係る単位作業場所」とは、有機溶剤を二種類以上含有する混合物として製造し、又は取り扱うことにより、二種類以上の有機溶剤が同一の発散源から発散する単位作業場所を指すものであり、別々の発散源から発散した有機溶剤が空気中で混合するような場合は含まないものであること。

七 第三条関係

(一) 本条の計算式は、昭和五九年二月一三日付け基発第六九号通達に示されていた計算式を一日のみ測定を行う場合と連続する二作業日に測定を行う場合に分けて具体的に書き直したものであり、前記通達の式と本質的に変わるものではないこと。

(二) 作業環境管理の状態を的確に把握するためには、気中有害物質濃度の日間変動を考慮する必要があり、連続する二作業日に測定を行い評価を行う方が望ましいものであること。

なお、評価値を求める式を一日のみ測定を行う場合と連続する二作業日に測定を行う場合に分けて示したのは、一日のみ測定を行う場合の測定結果からは日間変動を求めることができないため、日間変動に相当する値を考慮した式により計算することとしたものであること。

八 第三条第二項関係

「合理的な理由」とは、当該物質に係る作業が数日おきにしか行われない場合等があること。