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作業環境測定基準の一部改正について
昭和63年9月16日基発第604号
(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)
作業環境測定基準の一部を改正する告示(昭和六三年労働省告示第七八号)は、昭和六三年九月一日公布され、同年一〇月一日から適用されることとなった。
今回の改正は、作業環境測定に係る技術的知見が集積されたこと及び労働安全衛生法の一部を改正する法律(昭和六三年法律第三七号)により作業環境測定の結果の評価等の規定が設けられたことに伴い所要の改正を行ったものである。
ついては、今回の改正の趣旨を十分理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、今回の改正に伴い、昭和五一年六月一四日付け基発第四五四号通達「作業環境測定基準の施行について」の記の9(第一〇条関係)及び一一(第一三条関係)並びに昭和五七年六月一四日付け基発第四一二号通達「作業環境測定基準の一部改正について」の記の1(第二条関係)の(1)を削除するとともに、昭和五九年四月一三日付け基発第一八二号通達「作業環境測定基準の一部改正について」の本文中なお書きを削除する。
記
第一 改正の要点
1 作業環境測定における測定点の間隔の上限を定めることにより、測定点のとり方の明確化を図つたこと(第二条第一項第一号関係)。
2 作業環境管理の状態が適切であると判断される単位作業場所について、所轄労働基準監督署長の許可を受けて相対濃度指示方法又は検知管方式による測定機器を用いる方法による測定ができるようにするとともに、許可の手続等を定めたこと(第二条第三項から第七項まで、第一〇条第三項及び第五項並びに第一三条第三項及び第五項関係)。
3 作業環境測定に係る技術的知見の集積に伴い、試料採取方法及び分析方法の整備を行ったこと(第一〇条第一項、第一一条第一項及び別表第一関係)。
4 検知管方式による測定機器を用いる方法によることができる物質の範囲の整備を行ったこと(第一〇条第二項及び第一三条第二項関係)。
5 有機溶剤の測定対象物質の拡大に伴い、新たに測定対象とされた物について試料採取方法及び分析方法を定めたこと(別表第二関係)。
第二 細部事項
1 第二条第一項第一号関係
(1) 本号は、設備等があって測定が著しく困難な位置を除いたすべての交点を測定点とする趣旨のものであること。なお、「設備等があって測定が著しく困難な位置を除く」とは、設備等があるために労働者の呼吸域となることが考えられないような位置を除く趣旨であって、設備等の上に労働者が乗り出す等により労働者の呼吸域となる可能性のある位置は、これに該当しないものであること。
(2) 縦の線の間隔と横の線の間隔とは、必ずしも同一である必要はないが、縦方向及び横方向のそれぞれの間隔は同一としなければならないものであること。
(3) 単位作業場所が直線で区切れない場合にあつては、平行線は単位作業場所の形に沿って曲率をもっても差し支えないこと。
(4) 本号ただし書の趣旨は、単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一である場合には、必ずしも六メートル以下の等間隔で測定点をとらなくても作業環境の実態を把握することが可能であることから、測定点の間隔を広げても差し支えないこととしたものであること。なお、この場合においても、測定点の位置は交点の床上五〇センチメートル以上一五〇センチメートル以下の位置(設備等があって測定が著しく困難な位置を除く。)とするものであること。
(5) 本号ただし書の「粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなとき」には、過去において実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね一・二以下であることが明らかなときがあること。
2 第二条第一項第一号の二関係
(1) 本号本文の場合には、縦の線若しくは横の線の間隔の変更又は交点の起点の移動を行うことなどにより、測定点を五以上としなければならないものであること。
(2) 本号ただし書は、改正前の作業環境測定基準第二条第一項第一号ただし書に相当するものであること。
3 第二条第三項関係
(1) 「二年以上」とは、改正後の労働安全衛生法第六五条の二の施行後の期間をいうものであること。
(2) 測定機器の較正、質量濃度変換係数等については、別途通達する予定であること。
4 第二条第四項関係(第一〇条第五項及び第一三条第五項において準用する場合を含む。)
(1) 二以上の単位作業場所について同時に許可申請を行おうとする場合は、作業環境測定特例許可申請書(様式第一号)は一枚で足りるものであること。
(2) 第一号の「作業場の見取図」とは、申請に係る単位作業場所の位置を特定するために必要な図面をいうものであること。
(3) 第二号の図面は、昭和五九年一一月一二日付け基発第六〇七号により示したモデル様式を用いる場合にあっては、当該モデル様式の2Aページ(粉じん)又は2Bページ(特定化学物質等、有機溶剤)の写しで足りるものであること。
(4) 本許可の基準及び処理要領については、別途通達するものであること。
5 第一〇条第一項関係
第三号の削除したのは、沃化メチルについては、現在、作業環境評価基準(昭和六三年労働省告示第七九号)別表に掲げる管理濃度の一〇分の一の濃度を精度良く測定できる検知管が製造されていないことによるものであること。
6 第一〇条第二項関係
本項各号に掲げる物質について検知管方式による測定機器を用いる方法を認めたのは、これらの物質については管理濃度の一〇分の一の濃度を精度良く測定できる検知管が製造されていることを勘案したものであって、これら物質に係る検知管のすべてについて、それによる方法を認めるものではないこと。また、臭化メチルを本項から削除したのは、現在、管理濃度の一〇分の一の濃度を精度良く測定できる検知管が製造されていないことによるものであること。
7 第一〇条第三項関係
(1) 本項の趣旨は、妨害物質が存在し、前項の測定ができない場合であっても、一以上の測定点において第一項第一号に掲げる方法を同時に行うことを条件に検知管方式による測定機器を用いる方法を認めることを規定したものであること。
(2) 前項第二号の物質が除外されているのは、当該物質が特定化学物質等障害予防規則(昭和四七年労働省令第三九号)第三六条の二第一項に定める評価の対象に入っていないことによるものであること。
(3) 本項の許可を受けた後の測定には、当該物質が管理濃度の一〇分の一の濃度まで精度良く測定できる検知管を使用すること。
8 第一一条関係
第一項からポーラログラフ分析方法を削除したのは、本方法が試薬等の取扱いが煩雑であるため現場においてほとんど使われなくなったことによるものであること。なお、本方法は、試薬等の管理を適切に行う場合にあっては、鉛の分析では精度上の問題はないため、同項の「これと同等以上の性能を有する分析方法」として認められるものであること。
9 第一三条第二項関係
本項各号に掲げる物質について検知管方式による測定機器を用いる方法を認めたのは、これらの物質については管理濃度の一〇分の一の濃度を精度良く測定できる検知管が製造されていることを勘案したものであって、これら物質に係る検知管のすべてについて、それによる方法を認めるものではないこと。
10 第一三条第三項関係
(1) 本項の趣旨は、妨害物質が存在し、前項の測定ができない場合であっても、一以上の測定点において第一項に掲げる方法を同時に行うことを条件に検知管方式による測定機器を用いる方法を認めることを規定したものであること。
(2) 本項括弧書の趣旨は、検知管が測定対象物質以外の物質にも反応することを利用し、前項において検知管方式による測定機器を用いる方法を認められている物質を主成分とする混合物として製造され、又は取り扱われる場合に限り、当該主成分の物質に係る検知管を用いて同時に測定を行うことを認めたものであること。したがって、括弧内の物質が単独で製造され、又は取り扱われる場合、又は前項において検知管方式による測定機器を用いる方法を認められている物質以外の物質を主成分とする混合物として製造され、又は取り扱われる場合にあっては、本項は適用されないものであること。
(3) 本項の許可を受けた後の測定には、当該有機溶剤(混合物として製造され、又は取り扱われる有機溶剤の測定にあっては、主成分である有機溶剤)の管理濃度の一〇分の一の濃度まで精度良く測定できる検知管を使用すること。
11 別表第一関係
(1) 「カドミウム及びその化合物」の項分析方法の欄からポーラログラフ分析方法を削除したのは、本方法が試薬等の取扱いが煩雑であるため現場においてほとんど使われなくなったことによるものであること。なお、本方法は、試薬等の管理を適切に行う場合にあっては、カドミウムの分析では精度上の問題はないため、第一〇条第一項第一号の「これと同等以上の性能を有する分析方法」として認められるものであること。
(2) 「クロム酸及びその塩」、「臭化メチル」、「重クロム酸及びその塩」及び「沃化メチル」の項の改正は、当該物質に係る測定手法が新たに開発されたことによるものであること。
12 様式第一号(作業環境測定特例許可申請書)及び様式第二号(作業環境測定結果摘要書)関係
様式第二号の「整理番号」の欄は、二以上の単位作業場所について申請を行う場合にあっては、各々に様式第一号に記入した単位作業場所の順に整理番号を付することとしたこと。
なお、申請時の添付すべき図面にも同様に整理番号を付するよう指導すること。