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通達:労働安全衛生法の一部を改正する法律及び労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の施行について

 

労働安全衛生法の一部を改正する法律及び労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の施行について

昭和55年11月25日基発第647号

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

 

労働安全衛生法の一部を改正する法律(昭和五五年法律第七八号。以下「改正法」という。)の施行については、昭和五五年一一月二五日付け労働省発基第八八号により労働事務次官から通達されたところであるが、その細部の取扱いについて左記のとおり定めたので、これが円滑な実施を図るよう配慮されたい。

また、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(昭和五五年政令第二九七号)は、昭和五五年一一月一四日に公布され、一部の規定を除き、昭和五五年一二月二日から施行されることとなつた。

今回の政令改正は、改正法の施行に伴い所要の規定を整備するとともに、最近の労働災害の発生状況等にかんがみ安全衛生管理体制等に関する規制の強化を図つたものである。

ついては、今回の政令改正の趣旨を十分に理解し、左記の事項に留意して、その運用に遺憾のないようにされたい。

 

Ⅰ 法律関係

一 元方安全衛生管理者(第一五条の二関係)

(一) 元方安全衛生管理者は、統括安全衛生責任者の指揮を受けて、統括安全衛生責任者が統括管理すべき事項のうち技術的事項を管理するものであり、元方安全衛生管理者が設けられることによつて統括安全衛生責任者の統括管理責任そのものに変更をもたらすものではないこと。

(二) 第一項の「技術的事項」とは、法第三〇条第一項各号の事項のうち安全又は衛生に関する具体的事項をいうものであり、専門技術的事項に限る趣旨のものではないこと。

二 救護の安全に関する措置(第二五条の二関係)

(一) 本条は、労働者の救護に関する措置がとられる場合に備えて事業者は、あらかじめ必要な措置を講じなければならないことを規定したものであり、事業者の救護義務自体について規定したものではないこと。したがつて、消防法の規定等現在の事故発生時における救護責任のあり方を変更するものではないこと。

(二) 第二項の「技術的事項」については前記一の(二)と同趣旨であること。

三 特定元方事業者等の講ずべき措置の強化(第三〇条関係)

第一項第五号の規定により作成される計画は、混在作業に起因する危険を防止するための施工の順序及び当該作業現場において使用する機械、設備等の配置が示されたものであり、工事着工時点における計画のほか、工事着工後、工程の進捗に応じて変更され、又はより具体化される作業の計画も含まれること。

なお、短時日の作業段取りについてまでも書面により作成することを要求する趣旨ではないこと。

また、これらの計画については、関係請負人に周知徹底されるよう指導すること。

四 計画の届出の審査の充実(第八八条関係)

(一) 第五項の「資格を有する者」は、事業者に雇用されている者であることが通常であろうが、必ずしもそのような者でなくとも差し支えないこと。

(二) 第五項の「参画」には、直接その計画を作成することのほか、最終的に計画を安全衛生面から点検することも含まれるものであること。

Ⅱ 施行令関係

一 第六条関係

(一) 第一〇号の二について

イ 「掘削の作業」には、切羽付近以外の箇所で行われる排水溝の設置のための作業、薬液注入、ボーリングの作業等は含まれないものであること。

ロ 「掘削用機械を用いて行う掘削の作業のうち労働者が切羽に近接することなく行うもの」とは、泥水加圧シールド工法による掘削、トンネルボーリングマシンによる掘削等、掘削の作業が機械化され、切羽の下方に労働者が立ち入らないものをいうものであること。

ハ 「ずり積み」とは、掘削箇所において掘削した土砂を鋼車等に積み込むことをいい、斜坑底等において、いつたん集積された土砂をベルトコンベヤー等に積み換える作業は含まれないものであること。

ニ 「ずい道支保工」には、シールド工法におけるセグメントが含まれるものであること。

ホ 「コンクリート等の吹付けの作業」とは、掘削作業に伴つて、掘削箇所における落盤・肌落ち等を防止するために行うコンクリート、モルタル等の吹付けの作業をいうものであること。

(二) 第一〇号の三の「覆工の作業」には、れんが、石積み等による巻立ての作業及びずい道型わく支保工の組立て等を伴わない路盤又は路床のコンクリートの打設の作業は、含まれないものであること。

(三) 第一五号の三について

イ 「軒の高さ」とは、地盤面から建築物の小屋組み又は、これにかわる横架材を支持する壁、敷げた又は柱の上端までの高さをいい、次図に示すとおりであること。

和小屋

図

洋小屋

図

折置

図

ロ 「木造建築物」とは、柱、はり等の主要構造部材が木材である建築物をいうものであること。

ハ 「構造部材」とは、柱、はり、けた等のように建築基準法第二条第五号の「主要構造部」に用いられる部材をいい、わく組壁工法による壁が含まれるものであること。

ニ 「屋根下地の取付けの作業」とは、たる木、野地板等の取付けの作業をいうものであること。

ホ 「外壁下地の取付けの作業」とは、木ずり、その他の部材の取付け等、主として大工が行う作業をいい、ラス張り等の作業は含まれないものであること。

(四) 第一五号の四について

イ 「コンクリート造」には、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造が含まれるほか、鉄骨造の工作物であつても、解体又は破壊する部分にコンクリートが用いられているものは含まれるものであること。

ロ 「工作物」とは、ビル等の建築物及びダム、擁壁等の土木構造物のような土地に固定した人工的なものをいうものであること。

ハ 「高さ」とは、解体又は破壊の対象となるコンクリート造の工作物そのものの高さをいうものであり、地上等からの高さをいうものではないこと。

ニ 「工作物の解体又は破壊の作業」には、改修等のための外壁のはつり等の作業及び場所打ちぐいの杭頭を切断する作業は含まれないものであること。

二 第七条関係

本条は、ずい道等の建設の仕事又は圧気工法による作業を行う仕事について、工事の機械化等に伴う労働者数の減少、労働災害の発生状況等に対応して、統括安全衛生責任者を選任すべき範囲を拡大したものであること。

三 第九条の二関係

(一) 「出入口」とは、労働者が出入することのできるずい道等又はたて坑の坑口をいうものであること。

(二) 「出入口からの距離」とは、出入口として利用する坑口から掘削作業等が行われている切羽のうち当該坑口から最も離れた箇所にあるものまでの通路に沿つた距離をいうものであり、次図に示すとおりであること。

図

なお、出入口が二箇所以上ある場合にあつては、それぞれの出入口からの距離のうち最短のものをいうものであること。

四 第一三条関係

(一) 第二二号の「補助サポート」及び「ウイングサポート」とは、パイプサポートの長さを補うために用いられるものであり、次図に示すようなものであること。

図

図

ウイングサポート

図

補助サポート

(二) 第二二号の三の「つりわく」とは、ビル建築工事等で、鉄骨梁等に取り付け、鉄骨の●鋲こうびょう鉄筋組立て等に用いられるものであり、次図に示すようなものがあること。

図

つりわく

五 別表第二関係

第五号の「放射性物質」には、従来から放射性物質によつて汚染された物も含まれるとして取扱つていたところであるが、今般、規定の整備を行い、放射線業務として、放射性物質によつて汚染された物の取扱いの業務を条文上明示したものであること。

六 別表第八関係

(一) 第一号一の「建わく」とは、脚柱、横架材及び補剛材等の鋼管を溶接組立てした構造を有し、かつ、その幅が九〇〇ミリメートル以上のものをいい、「簡易わく」とは、構造は建わくと同様であるが、その幅が九〇〇ミリメートル未満のものをいい、それぞれ次図に示すようなものであること。

図

建わく

図

簡易わく

(二) 第一号三の「布わく」とは、建わく及び簡易わくの横架材に架け渡し、その上に足場板を敷き並べ作業床とするもので、わく組足場の水平構(布)の役目をするものであること。構造は、布地材及び腕木材の鋼管を溶接組立てし、かつ、布地材の両端に鋼板製のつかみ金具を有するものであり、次図に示すようなものであること。

図

布わく

(三) 第一号四の「床つき布わく」とは、足場板を鋼製化し、布わくの四隅につかみ金具を取り付け、わく組足場の水平構の役目も果たすものであり、次図に示すようなものであること。

図

床つき布わく

(四) 第二号の「布板一側足場」とは、一側足場の布材と作業床との機能をもつ布板を有するものであり、次図に示すようなものであること。

① 建地

② ベース金具

③ 根がらみ

④ 壁つなぎ

⑤ 支持金具

⑥ 布板

⑦ はしご

⑧ 手すり受

⑨ 手すり

⑩ 斜材

図

布板一側足場