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通達:じん肺法施行規則の一部を改正する省令の施行について

 

じん肺法施行規則の一部を改正する省令の施行について

昭和54年7月11日基発第342号

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

改正 昭和60年1月31日基発第54号

 

じん肺法施行規則の一部を改正する省令(昭和五四年労働省令第一九号、以下「規則」という。)は昭和五四年四月二五日に公布され、同日から施行されたところである。

今回の改正は、粉じん障害防止規則(昭和五四年労働省令第一八号。以下「粉じん則」という。)の制定とあわせて、規則による改正前のじん肺法施行規則(昭和三五年労働省令第六号。以下「旧規則」という。)別表に定められた粉じん作業について見直しを行い、必要な追加及び整理を行つたものである。改正後のじん肺法施行規則(以下「新規則」という。)別表に掲げる粉じん作業(以下「新粉じん作業」という。)は、同表第二四号に掲げる作業を除いて、粉じん則別表第一に掲げる粉じん作業と同一の作業となり、その結果、粉じん則によりじん肺予防対策が強化されることから、じん肺の予防から健康管理に至るまで一貫した体系が確立されることとなつた。

ついては、この趣旨を十分理解し、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。

なお、本規則の施行に伴い、

昭和三五年四月二五日付け基発第三三一号通達記の第一の四及び五

昭和三五年九月一七日付け基収第六三七二号の二通達

昭和三六年二月一〇日付け基収第三〇七号通達

昭和三六年四月八日付け基収第九七四号通達

昭和三六年四月二四日付け基発第三七七号通達

昭和四〇年八月二六日付け基収第三三六八号の二通達

昭和四七年一月一七日付け基発第一八号通達

昭和五一年四月五日付け基収第七〇号の二通達

を廃止し、昭和四三年七月二四日付け基発第四七二号通達の記の四を「じん肺法施行規則別表に掲げる作業(同規則第二条の認定を受けた作業を除く。)」に改める。

 

第一 規則改正の要点

一 粉じん作業について

(一) 新粉じん作業は、当該作業に従事する労働者がじん肺にかかるおそれがあると一般的に認められる作業を類型化して列挙したものであること。なお、これらの作業のうち当該作業に従事する労働者がじん肺にかかるおそれがないと客観的に認められる作業については、都道府県労働基準局長が個別に認定することにより新粉じん作業から除外することとしたこと。(第二条、別表関係)

(二) 新粉じん作業は、旧規則別表第一に掲げられていた作業(旧規則別表第二第一号から第一二号までに掲げられていたものを除く。以下「旧粉じん作業」という。)について、所要の追加及び整理を行つたものであり、また、新規則別表は、従来の二表方式を改め、旧規則別表第一及び第二を整理統合して一の表にしたものであること。(別表関係)

なお、新粉じん作業は、基本的には次のいずれかの要件に該当する作業であること。

① じん肺にかかつた者、又はじん肺の疑いのある者が認められ、かつ、その所見が当該作業に従事したことにより生じたものであると判断される作業

② じん肺にかかつた者、又はじん肺の疑いのある者は認められないが、旧粉じん作業で発散している粉じんと同様じん肺を起こすことが明らかな無機性の粉じんが発散しており、粉じん発散の程度、態様等からみて、労働者の粉じんばく露が、当該作業と同程度と判断される作業

(三) 今回の改正により、追加された主な粉じん作業は次のとおりであること。

① 研ま材を用いて動力により金属を裁断する場所における作業(別表第七号関係)

② 土石、岩石又は鉱物を動力によりふるいわける場所における作業(別表第八号関係)

③ クレー又は粉状のけいそう土若しくは滑石以外の粉状の鉱石を乾燥し、袋詰めし、積み込み、又は積み卸す場所における作業(別表第九号関係)

④ 粉状の酸化チタンを袋詰めする場所における作業(別表第一〇号関係)

⑤ 炭素製品を製造する工程において、半製品を炉詰めし、半製品若しくは製品を炉出しする場所における作業(別表第一四号関係)

⑥ 砂型を用いて鋳物を製造する工程において、砂を再生し、又は混練する場所における作業(別表第一五号関係)

⑦ 鉱石専用埠頭に接岸している鉱石専用船の船倉内で鉱物等(湿潤なものを除く。)をかき落し、又はかき集める作業(別表第一六号関係)

⑧ 金属を溶断し、又はアークを用いてガウジングする作業(別表第二〇号関係)

二 非粉じん作業の認定

第二条ただし書の都道府県労働基準局長による認定(以下「非粉じん作業認定」という。)は、申請された作業について、粉じんの種類、粉じんの発散の程度(作業場の気中粉じん濃度の測定結果を含む。)、生産工程、作業態様、過去のじん肺健康診断の結果等からみてじん肺発生のおそれがないことを確認する行為であること。

 

第二 規則改正の細部関係

一 第二条関係

(一) 旧規則では、別表第二第一三号において別表第一に掲げる作業のうち都道府県労働基準局長が当該作業に従事する労働者がじん肺にかかるおそれがないと認定した作業を粉じん作業から除外することとしていたが、今回の改正で旧規則の別表第一と別表第二を統合したことにより、旧規則別表第二第一三号で規定していた非粉じん作業認定を本条ただし書に規定したものであること。

(二) 非粉じん作業認定に当たつて、過去のじん肺健康診断の結果を認定の要件にした理由は、申請時以前に申請に係る作業に従事していた労働者にじん肺が発生したか否かが重要な要件であるからであること。

二 第三条関係

(一) 第二項の「粉じんの発散の程度が低いことが明らかである場合」とは、生産工程・作業方法・原材料の使用量等から測定を行わなくても粉じんの発散の程度が低いことが明らかな場合をいい、例えば、石印の手彫り作業があること。

(二) 第二項第二号の「記録」は、申請に係る作業に現に従事している労働者及び労働者であつた者に係る過去七年間に行われたじん肺健康診断の結果が記載された書面をいうものであること。

(三) 第四項の「見取図に記載された事項を変更したとき」とは、粉じんの発生状況に影響を与える事項に変更があつた場合をいい、例えば、局所排気装置の設置位置を変更した場合があること。

(四) 第四項の「健康診断等」の「等」には、例えば、労働者が独自に医師の診断を受けることがあること。

(五) 非粉じん作業認定の運用に当たつては、粉じん則の適用との関係もあり、慎重に対処する必要があることから、認定申請がなされた場合には、当分の間本省にりん伺すること。

三 別表(粉じん作業)関係

(一) 「~する場所における作業」について

別表第一号から第三号まで、第五号から第一五号まで、第一七号、第一八号及び第二一号から第二四号までの粉じん作業中「~する場所における作業」とは、粉じん発生源から発散する粉じんにばく露する範囲内で行われる作業のうち、粉じん発散の程度、作業位置、作業方法、作業姿勢等からみて当該作業に従事する労働者がじん肺にかかるおそれがあると客観的に認められるすべての作業をいう趣旨であること。したがつて、本別表でいう「場所」とは、粉じん発生源から一定の距離内の区域を画一的に規定するものではないこと。

なお、ここでいう「場所」とは、単に平面的な範囲のみをいうものではなく、立体的な拡がりを有する範囲も含まれること。

(二) 別表第一号の作業について

イ 本号の作業は旧規則別表第一第一号の作業から別表第二第一号、第二号及び第三号の作業を除いたものと同一であること。

ロ 「土石」及び「岩石」とは、いずれも一種又は数種の鉱物の集合体をいい、両者の相違は単に形状の相違によるものであること。即ち、「岩石」とは、これら鉱物の集合体のうち、形状が岩状又は塊状のものをいい、このような形状以外のものを「土石」と総称したこと。

ハ 「鉱物」とは、一般には地殻中に存在して物理的、化学的にほぼ均一かつ一定の性質を有する固体物質をいうが、その人工物をも含む趣旨であること。したがつて、単体の元素、金属等は鉱物に該当しないが鉱さい、活性白土、コンクリート、セメント、フライアツシユ、クリンカー、ガラス、人工研ま材(アルミナ、炭化けい素等)、耐火物、重質炭酸カルシウム(石灰石の着色部分を除去し、微細粉末としたもの)、化学石こう等の人工物は鉱物に該当すること。

ニ 「湿潤な土石」とは、一般に平掌で握りしめると固まり、飛散しない程度の状態のものをいうこと。

ホ 「掘削」とは、掘り、うがつ行為のすべてをいい、さく岩機、パワーシヨベル、ドラグシヨベル、ボーリングマシン等の動力機械を用いて行うもの、発破を用いて行うもの、つるはし、スコツプ等の道具を用いて行うもののすべてを含むこと。例えば、路盤や道床の穿孔は「掘削」に該当するが、コンクリートブレーカー等による建物の解体はこれに該当しないこと。なお、手ハンマーによる探査試料の採取、堆積物のスコツプ、パワーシヨベル等による移動は「掘削」に該当しないこと。

ヘ 「坑」とは、横坑のみではなく、たて坑、斜坑も含む趣旨であり、例えば、鉱山における坑道、ずい道建設工事の坑道、地下発電所建設のためのたて坑、シールド工法の作業室があること。

なお、明り掘削の上部を覆工板で覆つた工事現場は該当しないこと。

ト 「試錐すい」はボーリングともいわれ、その地点における鉱床の有無、位置、性状の探知、地層の地質状態の調査等を目的として地面に小孔をうがつことをいうこと。

チ 「動力又は発破によらないで掘削する」とは、つるはし、スコツプ等を用いて行ういわゆる手掘りをいうこと。

(三) 別表第二号の作業について

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第二号の作業から湿潤な鉱物等に係る作業を除いたものと同一であること。

ロ 本号は、トロツコ、チツプラー、ダンプカー等からの積載物の荷卸しやねこ車をくつがえすことによる積み卸しをいい、シヨベルローダー、バツクホーのようにバケツト等を有する車両系建設機械又は車両系荷役運搬機械により積み卸しを行う作業は該当しないこと。

ハ 「湿潤なもの」とは、湿潤な鉱物等をいうが、岩石については表面全体が湿つた状態の岩石をいうこと。また、あらかじめ、人為的に水をかけ湿潤にした場合であつても、作業を行つている間継続して湿潤な状態に保たれていれば「湿潤な鉱物等」に該当すること。

(四) 別表第三号の作業について

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第五号の作業から別表第二第一一号の作業を除き、かつ「湿潤な鉱物等の積み込み、又は積み卸し」を除いたものであること。

ロ 「破砕」、「粉砕」とは、いずれも固体を分割することをいい、その区別は単に砕かれたもの大小に着目して表現したにすぎないこと。したがつて、ブレーカー等の手持式動力工具やハンマー、たがね等の工具により石材、鉱石等を小割することも「破砕」、「粉砕」に該当すること。

ハ 「ふるいわけ」とは、網ふるい、棒ふるい等を用いて、物質を粒径により分離することをいうこと。

(五) 別表第四号の作業について

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第六号の作業から別表第二第六号の作業を除いたものと同一であること。

ロ 「運搬する作業」には、巻揚機等の運搬機械を遠隔操作により隔離室において行う場合等であつて、作業者が粉じんにばく露されないことが明らかである場合は含まれないこと。

(六) 別表第五号の作業について

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第七号の作業から別表第二第七号の作業を除いたものと同一であること。

ロ 「充てん」とは、鉱物等を採掘した跡等の空洞にボタ(選鉱の際に出た残さい物)、土砂等を込めることをいうこと。なお、「湿潤な鉱物等の充てん」には、浮遊選鉱の際に出るスライム(泥状の鉱さい)を充てんする、スライム充てん等があること。

ハ 「岩粉を散布する」とは、石炭鉱山の坑内において爆発防止のために粉状の頁けつ岩、石火石等を散布することなどをいうこと。

(七) 別表第六号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第三号前段の作業から別表第二第四号の作業を除いたものに「のみ仕上げ」、「つる仕上げ」及び「たたき仕上げ」以外の「彫り」及び「仕上げ」を追加したものであること。

ロ 「裁断」とは、所要の形状にきり離す行為のすべてをいうこと。

ハ 「彫り」とは、岩石又は鉱物の表面を削り、くぼみをつける行為のすべてをいうものであり、例えば「字彫り」、「孔彫り」があること。

ニ 「仕上げ」とは、岩石又は鉱物を所要の寸法、形状、表面荒さにする行為のすべてをいい、旧規則の「のみ仕上げ」「つる仕上げ」「たたき仕上げ」のほか、「みがき仕上げ」「面取り加工」「切削加工」等も含まれること。なお、コンクリート製品やコンクリート壁のはりを削り取る作業は「仕上げ」に該当すること。

ホ 本号及び第八号の「注水又は注油をしながら」とは、作業の行われている間、常に注水又は注油を行い、粉じんの発散面が水又は油の層で覆われている状態に保つことをいうこと。

(八) 別表第七号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第三号後段の作業及び第四号の作業から別表第二第四号及び第五号の作業を除いたものであること。

ロ 研まの対象を、「岩石、鉱物若しくは金属」としたのは、昭和五二年の改正前のじん肺法(昭和三五年法律第三〇号)では、その第二条第一項第一号でじん肺が「鉱物性粉じん(以下「粉じん」という。)を吸入することによつて生じたじん肺及びこれと肺結核の合併した病気をいう。」と定義されていたことから本号の作業範囲は鉱物性粉じんを発散する作業に限定されることが明らかであつたが、改正後のじん肺法(昭和五二年法律第七六号)第二条第一項第一号でじん肺の定義が「粉じんを吸入することによつて肺に生じた繊維増殖性変化を主体とする疾病をいう。」と改められたため、本号の作業範囲が不明確になつたことから、その範囲を明確にしたものであること。

ハ 「研ま材」とは、物体を削り、すりへらし、又はみがくために使用される硬度の高い物質の総称であり、と石、研ま布紙、バフ研ま材等があること。

ニ 「研ま」とは、いわゆる研削も含むものであり、手持式グラインダーによる錆おとし、傷取り及び炉の内壁等に付着した金属の削りおとしが含まれること。

ホ 「吹き付けにより研ま」とは、サンドブラスト、シヨツトブラスト等の作業をいい、これらによるいわゆる「錆落し」が含まれること。

ヘ 「研ま材を用いて動力により、ばり取りし」には、研ま材を用いてガラス繊維強化プラスチツク(FRP)製品を製造する際のばり取りが含まれること。

(九) 別表第八号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第八号の作業に「ふるいわけ」を追加し、旧規則別表第一第九号、第一〇号、第一一号、第一三号、第一五号、第一六号、第一七号及び第二〇号における「破砕」「粉砕」及び「ふるいわけ」の作業を統合したものであること。

ロ 「炭素を主成分とする原料」には、カーボンブラツク、黒鉛、石炭、コークス、活性炭等があること。

ハ 「アルミニウムはくを動力により破砕し、粉砕し」には、アルミニウムはくをスタンプミル等によりつく・・ことがあること。

(一〇) 別表第九号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一の第一三号、第一六号、第二二号における「乾燥」「袋詰め」「積み込み」及び「積み卸し」の作業を含むものであること。

ロ 「セメントを袋詰めする場所における作業」には、新たにセメントを製造する工程における作業以外の作業も該当することとなつたこと。

ハ 「粉状」とは、砂状よりも粒子の細かい状態をいい、粒径が概ね一mm以下の粒子が主体である状態をいうこと。

ニ 「積み込み」「積み卸す」には、袋詰めされたものの積み込み及び積み卸しは含まれないこと。

(一一) 別表第一〇号の作業

イ 本号の作業は、粉状のアルミニウムの袋詰めを旧規則別表第一第一七号に規定していた粉状のアルミニウムの製造工程のみに限定することなく、この工程以外にも拡げるとともに、新たに酸化チタンの袋詰めの作業が加えられたものであること。

ロ 「袋詰め」には、ビン、箱等の固形容器に詰めることは含まれないこと。

ハ 「酸化チタン」は、白色の粉末であり、白色塗料用顔料、白色ゴムの着色剤、合成繊維のつや消し、印刷インキ用添加剤、製紙用添加剤、絵具、クレヨン等に用いられていること。

(一二) 別表第一一号の作業

イ 本号の作業については、混合等の対象を旧規則別表第一第一四号の作業における粉状の滑石、クレーから、粉状の鉱石、炭素原料まで拡げたものであること。

ロ 「鉱石」とは、天然に産する土石又は岩石に限られ人工的に合成された物を含まないこと。現在、産業界において用いられている主な粉状の鉱石としては、滑石、クレー、カオリン、長石、陶石等があること。(別添「主な粉状の鉱石について」参照)

ハ 「混合」、「混入」とは、いずれも物体を混ぜあわせる行為をいうこと。なお、「混入」は、ゴム、合成樹脂等の可塑物に混ぜ入れることをいうこと。

ニ 「散布」とは、物体の表面に粉を打つことをいうこと。なお、物体の表面に付着している粉状物を圧縮空気により吹きとばすことも散布に含まれること。

ホ 本号に該当する作業としては、例えばゴム製品製造工程における付着防止のための打粉やカーボンブラツクの投入、紙、農薬、クレンザー(みがき砂)等を製造する場合の増量剤の投入があること。

(一三) 別表第一二号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第九号の作業のうち、「ふるいわけ」を削除する(新規則では第八号の作業となる。)とともに、「水の中で原料を混合する場所における作業」を除外したものである。

ロ 「ほうろう」とは、金属の表面に特殊ガラスを薄く焼き付けたものをいい、ガラスライニングをほどこしたものも含まれること。

ハ 「原料」には、けい砂、ガラス屑等があり、小量の添加剤は含まないこと。

ニ 「調合物」とは、原料と着色剤、清澄剤等を調合したものをいうこと。

ホ 「ガラスを製造する工程」には、回収したガラス屑からガラス製品を再生する工程が含まれること。

ヘ 「混合」とは、混合材への原材料の投入から混合された物の取り出しまでをいうこと。

(一四) 別表第一三号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第一〇号の作業から旧規則別表第二第九号の作業を除き、かつ、これに旧規則別表第一第一一号の作業を加えたもので、このうち「原料の破砕、粉砕、ふるいわけ」する作業については本号より削除したこと。(新規則では第八号の作業となる。)

ロ 「陶磁器」とは、陶土、粘土等を主原料として焼きあげたものの総称で、陶器、磁器のみに限らず、せつ器(低級粘土を主原料とするもの)や土器(粘土質で釉薬をかけないもの)も含むこと。したがつて「陶磁器」としては、例えば食器類、タイル、美術工芸品、衛生陶器、電気用品(がいし等)、化学用器(反応管、電解槽、耐酸レンガ等)、陶管、建築用レンガ、植木鉢、瓦、火鉢が含まれること。なお、「工業用セラミツク」も、本号の「陶磁器」に含まれること。

ハ 「耐火物」とは、炉材その他の高温度で溶融しにくい無機物質をいい、例えば耐火レンガや匣こう鉢(陶磁器や耐火物を焼く場合に用いられるうつわ・・・)のほかに、キヤスタブル耐火物(耐火性の骨材と水硬性セメントを混合したもので、耐火コンクリートとも呼ばれる。)、プラスチツク耐火物(耐火粘土に耐火性の骨材を加えたもの)、耐火モルタル(耐火れんがを積むときの目地材料)の不定形耐火物があること。

ニ 「けいそう土製品」とは、けいそう土を主原料として作られたものをいい、例えば、耐火断熱レンガ、けいそう土保温材、ろ過助材、こんろ、クレンザー(みがき砂)があるが、少量のけいそう土を添加剤として添加した紙等は含まないこと。

ホ 「製造する工程」とは、原料から製品ができあがるまでの工程のみをいうのではなく、同一事業場内において製品ができあがつた後に付随して行う製品の荷造りまでをいうこと。

ヘ 「原料を成形し」とは、かまに入れて焼成する前に素材を製品と同形にすることをいうこと。

ト 「半製品」とは、成形されたもので本焼成される前のものをいうこと。したがつて、素焼が終了し、本焼成が行われる前のものは半製品に含まれること。

チ 「原料若しくは半製品を乾燥し」とは、かまに入れて焼成する前に原料や成形した素材を乾かして水分を減少させることをいうこと。

リ 焼成関係の作業については、旧規則では「半製品又は製品のかま詰め又はかま出し」の作業のうち「トンネルがまに係るかま詰め又はかま出し」の作業を除外していたが、今回の改正により、かまの種類を問わず「半製品を台車に積み込み、若しくは半製品若しくは製品を台車から積み卸し」する作業及び「かまの内部に立入る」作業を粉じん作業としたこと。

ヌ 本号の「半製品若しくは製品を仕上げし」とは半製品の余分な陶土の削り取り、細部の修正、半製品及び製品の底面等の研ま(はますり、はま削り等と呼ばれる。)付着したほこりの除去(ちり払い、はわき等と呼ばれる。)等をいうこと。

ル 「荷造りし」とは、包装していないものの縄がけ等をいうこと。

ヲ 「原料を流し込み成形し」とは、「鋳込み成形」ともいい、原料を水に溶かして型に流し込んで成形することをいうこと。

ワ 「半製品を生仕上げし」とは、半製品を乾燥する前の湿潤な状態において仕上げすることをいうこと。

(一五) 別表第一四号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第一五号の作業のうち「原料を破砕し、粉砕し、ふるいわけする」作業を削除する(新規則では第八号の作業となる。)とともに「半製品を炉詰めする」作業及び「半製品若しくは製品を炉出しする」作業を新たに追加したものであること。

ロ 「炭素製品」とは、製品の主体が単体炭素(黒鉛、無定形炭素等をいう。)よりなるものをいい、例えば、黒鉛電極、電気用ブラシ、炭素棒(溶接用電極、電解用電極等)、黒鉛ルツボ、炭素レンガ(炭素ブロツク)、機械用炭素製品(パツキング、ピストンリング等)、活性炭、墨があること。

ハ 「炉詰め、炉出し」には、焼成炉又は黒鉛化炉への「炉詰め、炉出し」があること。

ニ 本号の「仕上げ」とは、黒鉛化した後に半製品又は製品の形状を整えること、ネジ切りを行うこと等をいうこと。

ホ 原材料としておがくず、木材等の植物性のものを炭化させて炭素粉にするような場合にあつては、当該原材料が炭化されてから後の工程における原材料は、「炭素原料」に該当すること。

(一六) 別表第一五号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第一八号の作業のうち「鋳込み」を削除し(新規則では第一七号の作業となる。)、かつ、残余の部分の一部の表現を改めたものであること。

ロ 「砂を再生し」とは、使用ずみの砂から、鉄片等の不純物を除去し、ふるいわけて再び使用できるようにすることをいうこと。

ハ 「砂を混練し」とは、鋳物砂に粘土、粘結剤、水等を加えて混ぜあわせることをいうこと。

ニ 「鋳ばり等」の「等」とは、鋳込み口(湯口)、あがり(鋳型の上部の穴)等の出つぱりをいうこと。

ホ 「削り取る」とは、研削盤、チツピングハンマー等により削り取ることをいうこと。

(一七) 別表第一六号の作業

イ 本号の作業は、新たに追加したものであること。

ロ 削除

ハ 削除

ニ 本号の作業を行う前に散水することにより鉱物等を湿潤な状態にした場合は、「湿潤な鉱物等」に該当すること。

ホ 「かき落し」とは、船倉内の側壁等にたい積し、又は付着した鉱物等をスコツプ等を用いて、かき落とすことをいうこと。

ヘ 「かき集める」とは、船倉内の鉱物等をブルドーザー等を用いてかき集めることをいうこと。

(一八) 別表第一七号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第二〇号前段の作業のうち「焼塊をふるいわけ」する作業を削除したものであること。なお、「焼塊のふるいわけ」は新規則では第八号の作業となること。

ロ 「開放炉」とは、炉の内部と外気とが蓋等によりしや断されていない型の炉をいい、例えばキユポラ、るつぼ炉があること。

ハ 「焼結」とは、粉鉱(粉状の鉱石)を焼き固めて塊状にすることをいうこと。

ニ 「湯出し」とは、炉から溶融した金属を取り出すことをいい、とりべ❜❜❜により取り出すこと及び湯出しするために炉に湯口をうがつことも含まれること。

ホ 「鋳込み」とは、鋳型に溶融した金属を注入することをいうこと。

ヘ 「金型に鋳込みする」には、例えばダイカストがあること。

ト 挿入機、クレーン等より土石又は鉱物を開放炉へ投げ入れる場合であつて、作業者が操作室等に隔離されているときのように粉じんにばく露されないことが明らかな場合は、本号に該当しないこと。

(一九) 別表第一八号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第一九号と第二〇号の後段の作業を統合したものであること。

ロ 「粉状の鉱物を燃焼する」には、例えば火力発電所において微粉炭燃焼を行うことがあること。

ハ 「その他無機物」には、例えばガラス、シリコン(けい素)があること。

ニ 「炉、煙道、煙突等」の「等」には、例えばダクト、フード、除じん装置があること。

ホ 旧規則別表第一第二〇号の「荷造りする」を「容器に入れる」と表現を改めたのは、従来のかます❜❜❜等に入れて荷造りする作業形態が、近年、コンテナバツク、ビニール袋、ドラムかん等に入れる作業形態に変遷したことによるものであること。

(二〇) 別表第一九号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第一二号の作業と同一であること。

ロ 「かま、炉等」の「等」には、煙突、とりべ、湯道、煙道があること。

(二一) 別表第二〇号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第二一号後段の作業に「金属を溶断する」作業と「アークを用いてガウジング」する作業を追加したものであること。

ロ 「屋内」とは、屋根(又は天井)及び側壁、羽目板その他のしやへい物により区画され、外気の流入が妨げられている建屋の内部をいうこと。なお、建屋の側面の概ね半分以上にわたつて壁、羽目板その他のしやへい物が設けられておらず、かつ、粉じんがその内部に滞溜するおそれがないものは、本号の「屋内」には含まれないこと。

ハ 「タンク」には、槽類、塔類、サイロ、ガス溜め、レシーバ等が含まれること。

ニ 「車両等」の「等」には、箱桁、マンホール、ピツト、潜函等があること。

ホ 「金属を溶断し」には、ガス溶断、アーク溶断等があること。

ヘ 「アーク溶断」とは、熱源にアークを用いる溶接法の総称であり、電極に溶接棒を用いる溶極式と電極に炭素等を用い溶加材をアークにより溶融させる非溶極式とがあること。

ト 「自動溶接」とは、作業者が常時手動で操作しなくても溶接棒の送り及び運棒ができ、連続的にアーク溶接が進行するような装置を用いて行うものをいい、代表的なものとしてはサブマージドアーク溶接(替孤溶接)及びグラビテイ溶接があること。

チ 「ガウジング」とは、金属を溶融させて行う溝掘り、開先(溶接する部材と部林の間の溝)加工、裏はつり(突合せ溶接で底面の溶込み不良部分又は第一層部分等を裏面からはつること)、穴あけ等をいい、本号の「アークを用いてガウジング」する作業とは、アーク熱で溶融した金属を圧縮空気で連続的に吹きとばすアークエアガウジングをいうこと。

(二二) 別表第二一号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第二一号の前段の作業と同一のものであること。

ロ 本号の作業は、いわゆるメタリコンと呼ばれる作業で、溶融した金属を圧縮空気で吹きとばして噴霧状にし、対象となる物体の表面に付着させてメツキすることをいうこと。

(二三) 別表第二二号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第二四号の作業と同一のものであること。

ロ 「染土」とは、い草の加工処理のために水泥状にして用いられる土石をいうこと。なお、い草の加工処理の工程は刈り取られたい草を染土中に浸漬して染色したのち、よじれ等を生じないようにして均一に乾燥するものであること。

ハ 「庫くら」とは、簡易な物置き程度の施設から専用の本格的な倉庫までを含めた集出荷用施設のすべてをいうこと。

ニ 「染土の付着したい草を庫くら入れし、庫くら出しし」とは、染土中に浸漬して染土を付着させたい草を乾燥した後倉庫へ保管する作業、倉庫から出荷する作業及びこれらに付帯する作業を行うことをいうこと。

ホ 「選別調整」とは、不良なものを取り除き、長さをそろえることをいい、元抜きの作業が含まれること。

ヘ 「製織する」とは、織機によりたたみ表、花むしろ等の製品を織ることをいうこと。

(二四) 別表第二三号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第二五号の作業と同一のものであること。

ロ 「バラスト」とは、線路の下に敷く砂利をいうこと。

(二五) 別表第二四号の作業

イ 本号の作業は、旧規則別表第一第二三号の作業と同一のものであること。

ロ 「石綿」とは、天然に産する鉱物性の繊維をいい、岩綿、ガラス繊維等の人工無機繊維は含まれないこと。

ハ 「ときほぐし」とは、採掘された塊状の石綿を繊維束にときほぐすこと及び繊維束をより束数の少ない繊維束にときほぐすことをいい、「解綿」又は「開綿」とも言われること。

ニ 「合剤し」とは、ときほぐされた石綿繊維とゴム、薬品、有機繊維、タルク、クレー、白土、セメント等を調合することをいうこと。

ホ 「紡績し」とは、繊維から糸を作ることをいい、繊維を混合し、不純物を除去するための混打綿から、製造された石綿を含有する糸を出荷するまでの工程をいうこと。

ヘ 「紡織し」とは、石綿糸を織り、ひも❜❜や布にすることをいい、織りあがつたものを検査する検反は含まないこと。

ト「吹き付けし」とは、石綿繊維を天井、壁等に付着させて吸音層、断熱層、耐火層等を作ることをいうこと。

チ 「石綿製品」とは、石綿を主たる原材料の一つとして製造されたものをいい、例えば、石綿糸、石綿布、石綿パツキング、石綿ひも、ジヨイントシート、石綿板(ミルボード)、電解用隔膜、石綿紙、石綿ふとん、石綿スレート、石綿管があること。

リ 「積層し、縫いあわせ」とは、石綿ふとんを作る作業をいうこと。

四 附則第二条関係

(一) 本条は、新規則の施行の日前において旧粉じん作業に該当し、新粉じん作業には該当しない作業(以下「削除作業」という。)に常時従事する労働者であつた者は、施行の日以降に当該作業に常時従事しているか否かを問わず、じん肺法の「常時粉じん作業に従事する労働者であつた者」とするという趣旨であること(じん肺法第八条、第九条の二、第一一条及び第一五条から第一六条の二関係)。したがつて、このような者であつて、じん肺管理区分が管理三であるものは、離職の際又は離職の後に労働安全衛生法(昭和四七年法律第五七号)第六七条に基づく健康管理手帳の交付も受けることができること。

(二) 削除作業を行う事業を行つたことがある事業者は、新規則施行の日以降においても、じん肺法第二条第一項第五号の事業者に該当するものであること。

(三) 新規則の施行日前まで常時削除作業に従事していた労働者が、新規則施行日以降も引続き同じ作業に従事する場合は、じん肺法第二一条に規定する作業転換にはならないこと。

五 その他

(一) 新規則の施行の日前に新粉じん作業を行う事業を行つていた事業者は、新規則の施行の日以降においては、じん肺法第二条第一項第五号の事業者に該当すること。

(二) 新規則の施行の日前において常時新粉じん作業に従事する労働者であつた者は、じん肺法の「常時粉じん作業に従事する労働者であつた者」に該当するものであること(じん肺法第八条、第九条の二、第一一条及び第一五条から第一六条の二関係)。したがつて、新規則の施行の日前に常時新粉じん作業に従事する労働者であつた者で、新規則の施行後、じん肺管理区分が管理三と決定された者は、離職の際又は離職の後に、労働安全衛生法第六七条に基づく健康管理手帳の交付を受けることができるものであること。

(三) 新粉じん作業が都道府県労働基準局長の認定を受け粉じん作業に該当しなくなつた場合において、常時当該じん作業に従事していた労働者が引続き同じ作業に従事するときは、じん肺法第二一条に規定する「作業の転換」にはあたらないこと。

(別添) 略