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不整地運搬車の定期自主検査指針
平成3年7月26日自主検査指針公示第12号
<編注:本指針は令和5年3月31日の自主検査指針第23号にて廃止されました。>
Ⅰ 趣旨
この指針は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第151条の53の規定による不整地運搬車の定期自主検査の適正かつ有効な実施を図るため当該定期自主検査の検査項目、検査方法及び判定基準について定めたものである。
Ⅱ 検査項目、検査方法及び判定基準
不整地運搬車については、次の表の左欄に掲げる検査項目に応じて、同表の中欄に掲げる検査方法による検査を行った場合に、それぞれ同表の右欄に掲げる判定基準に適合するものでなければならない。
1 原動機
1.1 ディーゼルエンジン
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
||
1.1.1 |
(1)本体 |
a 始動性 |
[1] スタータースイッチを操作してエンジンのかかり具合及び異音をの有無を調べる。 |
[1] 始動が容易で、異音がないこと。 |
b 回転の状態 |
[1] アイドリング時及び無負荷最高回転時の回転数を調べる。 |
[1] メーカーの指定する基準値内であり、回転が円滑に続くこと。 |
||
c 排気の状態 |
[1] エンジンを十分に暖機した状態で、アイドリング時から高速回転時までの排気色及び排気音の異常の有無を調べる。 |
[1] 排気色及び排気音が正常であること。 |
||
d エアクリーナー |
[1] ケースのき裂、変形及びふた部、接続管等の緩みの有無を調べる。 |
[1] ケースのき裂、変形又はふた、接続管に緩みがないこと。 |
||
e 締付け |
シリンダーヘッド及びマニホールドの締付け部のボルト及びナットの緩みの有無を調べる。 |
緩みがないこと。 |
||
f 弁すき間 |
弁すき間を調べる。 |
メーカーの指定する基準値内であること。 |
||
g 圧縮圧力 |
圧縮圧力を調べる。 |
メーカーの指定する基準値内であること。 |
||
h 過給機 |
[1] アイドリング時から高速回転時の異常振動及び異音の有無を調べる。 |
[1] 異常振動又は異音がないこと。 |
||
i エンジンマウント |
[1] ブラケットのき裂及び変形の有無を調べる。 |
[1] き裂又は変形がないこと。 |
||
(2)潤滑装置 |
[1] オイルパン内の油量及び油の汚れを調べる。 |
[1] 油量が適正で著しい汚れがないこと。 |
||
(3)燃料装置 |
[1] 燃料タンク、燃料ポンプ、ホース、パイプ等からの燃料漏れの有無を調べる。 |
[1] 燃料漏れがないこと。 |
||
(4)冷却装置 |
[1] 冷却水の量及び汚れの有無を調べる。 |
[1] 水量が適正で著しい汚れがないこと。 |
||
(5)電気装置 |
a 充電装置 |
電流計及び充電表示燈によって機能の異常の有無を調べる。 |
正常に作動すること。 |
|
b バッテリー |
[1] 電解液の量が規定の範囲にあるか調べる。 |
[1] 規定範囲内にあること。 |
||
c 配線 |
[1] 接続部の緩みの有無を調べる。 |
[1] 緩みがないこと。 |
||
(6)エアコンプレッサー |
[1] コンプレッサーを作動させて異音及び異常振動の有無を調べる。 |
[1] 異音又は異常振動がないこと。 |
1.2 ガソリンエンジン
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
||
1.2.1 |
(1) |
a 始動性 |
スタータースイッチを操作してエンジンのかかり具合及び異音の有無を調べる。 |
始動が容易で、異音がないこと。 |
b 回転の状態 |
[1] アイドリング時及び無負荷最高回転時の回転数を調べる。 |
[1] メーカーの指定する基準値内であり、回転が円滑に続くこと。 |
||
c 排気の状態 |
[1] エンジンを十分に暖機した状態で、アイドリング時から高速回転時までの排気色及び排気音の異常の有無を調べる。 |
[1] 排気色及び排気音が正常であること。 |
||
d エアクリーナー |
[1] ケースのき裂、変形及びふた部、接続管等の緩みの有無を調べる。 |
[1] ケースのき裂、変形又はふた、接続管に緩みがないこと。 |
||
e 締付け |
シリンダーヘッド及びマニホールド締付け部のボルト及びナットの緩みの有無を調べる。 |
緩みがないこと。 |
||
f 弁すき間 |
弁すき間を調べる。 |
メーカーの指定する基準値内であること。 |
||
g 圧縮圧力 |
圧縮圧力を調べる。 |
メーカーの指定する基準値内であること。 |
||
h 過給機 |
[1] アイドリング時から高速回転時の異常振動及び異音の有無を調べる。 |
[1] 異常振動又は異音がないこと。 |
||
i エンジンマウント |
[1] ブラケットのき裂及び変形の有無を調べる。 |
[1] き裂又は変形がないこと。 |
||
(2)潤滑装置 |
[1] オイルパン内の油量及び油の汚れを調べる。 |
[1] 油量が適正で著しい汚れがないこと。 |
||
(3)燃料装置 |
[1] 燃料タンク、噴射ポンプ、ホース、パイプ等からの燃料漏れの有無を調べる。 |
[1] 燃料漏れがないこと。 |
||
(4)高圧ガス燃料装置 |
[1] 導管及び接続部についてガス漏れの有無を調べる。 |
[1] ガス漏れがないこと。 |
||
(5)ブローバイガス還元装置 |
[1] メターリングバルブに負圧を加えてバルブの作動状態を調べる。 |
[1] 正常に作動すること。 |
||
(6)冷却装置 |
[1] 冷却水の量及び汚れの有無を調べる。 |
[1] 水量が適正で著しい汚れがないこと。 |
||
(7)点火装置 |
[1] ディストリビューターのキャップのき裂の有無及び高圧コードのはめ合い具合並びに各端子の摩耗及び焼損の有無を調べる。 |
[1] き裂がなく、はめ合いが正常で、著しい摩耗又は焼損がないこと。 |
||
(8)電気装置 |
a 充電装置 |
電流計及び充電表示燈によって機能の異常の有無を調べる。 |
正常に作動すること。 |
|
b バッテリー |
[1] 電解液の量が規定の範囲にあるか調べる。 |
[1] 規定範囲内にあること。 |
||
c 配線 |
[1] 接続部の緩みの有無を調べる。 |
[1] 緩みがないこと。 |
2 動力伝達装置
2.1 動力伝達装置
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
|
2.1.1 |
(1)主クラッチ |
[1] アイドリング状態でクラッチを切り、異音の有無を調べるとともにトランスミッションを変速し、クラッチの切れ具合を調べる。 |
[1] 異音がなくクラッチが完全に切れること。 |
(2)クラッチペダル(インチングペダル) |
[1] ペダルを反復操作してペダルの重さ及び戻り具合を調べる。 |
[1] ペダルの重さ又は戻り具合が適正であること。 |
|
(3)クラッチケース |
[1] ケース内の油量を調べる。 |
[1] 油量が適正であること。 |
|
(4)イナーシャブレーキ |
エンジンアイドリング状態でクラッチを切り、イナーシャブレーキが作動するかを調べる。 |
正常に作動すること。 |
|
(5)駆動用ベルト |
[1] ベルトのたわみを測定する。 |
[1] メーカーの指定する基準値内であること。 |
|
(6)カップリング |
[1] 連結部取付けボルト及びナットの緩み、損傷及び脱落の有無を調べる。 |
[1] 緩み、損傷又は脱落がないこと。 |
|
(7)ユニバーサルジョイント |
[1] エンジン回転を低速から高速まで急加減速させて、異音及び振動の有無を調べる。 |
[1] 異音又は振動がないこと。 |
|
(8)トランスミッション |
[1] レバーを前進及び後進状態にして駆動し、作動状態並びにレバーの抜け、異音及び異常発熱の有無を調べる。 |
[1] 正常に作動し、レバーの抜け、異音又は異常発熱がないこと。 |
|
(9)操向クラッチ |
[1] 走行して操向レバー又はペダルを操作したとき、異音及び滑りがなく、確実に作動するかを調べる。 |
[1] 異音又は滑りがなく、確実に作動すること。 |
|
(10)フィイナルドライブ |
[1] 走行して異音及び異常発熱の有無を調べる。 |
[1] 異音又は異常発熱がないこと。 |
|
(11)車軸ケース |
[1] エンジンをフル回転の状態で前後進させ、異音の有無を調べる。 |
[1] 異音がないこと。 |
3 走行装置
3.1 走行装置
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
|
3.1.1 |
(1)起動輪及び遊動輪 |
[1] き裂、変形及び磨耗の有無を調べる。 |
[1] き裂、変形又は著しい摩耗がないこと。 |
(2)上部ローラー及び下部ローラー |
[1] き裂、変形及び摩耗の有無を調べる。 |
[1] き裂、変形又は著しい摩耗がないこと。 |
|
(3)履帯 |
[1] シューのき裂、変形及び摩耗の有無を調べる。 |
[1] き裂、変形又は著しい摩耗がないこと。 |
|
(4)ゴム履帯 |
[1] スチールコードの切断及び損傷の有無を調べる。 |
[1] 切断又は著しい損傷がないこと。 |
|
(5)履帯調整装置 |
[1] グリースタイプのものにあっては、調整装置のシリンダー内にグリースを注入し、スクリュータイプのものにあっては調整ねじを回転させて装置の作動具合を調べる。 |
[1] 正常に作動すること。 |
|
(6)トラックフレーム |
[1] き裂、変形、損傷及びしゅう動部の摩耗の有無を調べる。 |
[1] き裂、変形、損傷又は著しい摩耗がないこと。 |
|
3.1.2 |
ホイール |
[1] 空気圧を検査する。 |
[1] メーカーの指定する基準値内であること。 |
4 操縦装置
4.1 操縦装置
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
|
4.1.1 |
操作レバー |
レバーを操作してストロークの適否及びがたの有無を調べる。 |
ストロークが適正で著しいがたがないこと。 |
5 制動装置
5.1 制動装置
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
|
5.1.1 |
(1)走行ブレーキ |
[1] ペダルの遊び量及びペダルを踏み込んだときの床面とのすき間を測定する。 |
[1] メーカーの指定する基準値内であること。 |
(2)駐車ブレーキ |
[1] レバーをいっぱいに引いて、レバーのつめがラチェットにかみ合った状態で、引きしろに余裕があるかを調べる。 |
[1] 引きしろに余裕があること。 |
|
(3)ロッド、リンク及びケーブル類 |
[1] ロッド、リンク及びケーブル類の損傷並びにクランプの緩みの有無を調べる。 |
[1] 損傷又は緩みがないこと。 |
|
(4)ペダルロック |
[1] ペダルを踏み込み、足を離したときに確実にロックされているかを調べる。 |
[1] 確実にロックされていること。 |
6 荷役装置
6.1 荷役装置
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
|
6.1.1 |
荷 台 |
[1] 荷台の上下並びにテールゲートを及びサイドゲートの開閉が円滑に行えるかを調べる。 |
[1] 円滑に作動すること。 |
7 油圧装置
7.1 油圧装置
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
||
7.1.1 |
(1)作動油タンク |
[1] タンク取付け部、外周壁面の溶接部及びカバー、継手、油面計等の接続部からの油漏れの有無を調べる。 |
[1] 油漏れ又はエア漏れがないこと。 |
|
(2)フィルター |
[1] フィルターエレメントを取り出し、汚れ及び損傷の有無を調べる。 |
[1] 汚れ又は損傷がないこと。 |
||
(3)配管 |
[1] 配管のき裂、損傷、老化及びねじれの有無を調べる。 |
[1] き裂、損傷、老化又はねじれがないこと。 |
||
(4) 油圧ポンプ |
[1] パイプ及びホースとの継手部並びにシール部からの油漏れの有無を調べる。 |
[1] 油漏れがないこと。 |
||
(5)HST用ポンプ付属弁 |
a ポンプコントロール弁 |
[1] 前後進及び中立の切換えが円滑に行えるかを調べる。 |
[1] 切換えが円滑であること。 |
|
b プレッシャーオーバーライド弁 |
[1] 規定の負荷圧が加わったときポンプの吐出量が0になるか調べる。 |
[1] 適正に作動すること。 |
||
(6)油圧モーター |
[1] パイプ及びホースとの継手部並びにシール部からの油漏れの有無を調べる。 |
[1] 油漏れがないこと。 |
||
(7)油圧シリンダー |
[1] 作動状態を調べる。 |
[1] 円滑に作動すること。 |
||
(8)方向制御弁 |
[1] スプールを動かし、円滑に作動するかを調べる。 |
[1] 円滑に作動すること。 |
||
(9)電磁弁 |
[1] 電磁弁を作動させ、異音及び異常発熱の有無を調べる。 |
[1] 異音又は異常発熱がなく正常に作動すること。 |
||
(10)圧力制御弁 |
[1] アクチュエーターを作動させるなどして負荷をかけ、作動の適否を調べる。 |
[1] アクチュエーターが正常に動くか、又は確実に停止すること。 |
||
(11)流量制御弁 |
[1] アクチュエーターを作動させて、作動の適否を調べる。 |
[1] アクチュエーターが正常に作動すること。 |
||
(12)逆止め弁 |
[1] アクチュエーターを作動させて、作動の適否を調べる。 |
[1] アクチュエーターが正常に作動すること。 |
||
(13)オイルクーラー |
[1] 暖機運転の後、油温の適否を調べる。 |
[1] 冷却効果が適正であること。 |
8 車体及び安全装置等
8.1 車体・安全装置等
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
|
8.1.1 |
(1)車枠及び車体 |
[1] き裂及び変形の有無を調べる。 |
[1] き裂又は著しい変形がないこと。 |
(2)キャブ又はカバー |
[1] き裂、変形、腐食及び雨漏りの有無を調べる。 |
[1] き裂、著しい変形、腐食又は雨漏りがないこと。 |
|
(3)座席 |
[1] 座席調整及びロック装置の作動の適否を調べる。 |
[1] 正常の作動すること。 |
|
(4)昇降設備及び滑り止め |
[1] き裂、損傷及び変形の有無を調べる。 |
[1] き裂、損傷又は著しい変形がないこと。 |
|
(5)表示板 |
構造規格に規定された表示板その他の注意・指示銘板等が損傷なく取り付けられているかを調べる。 |
損傷なく取り付けられていること。 |
|
(6)燈火装置、警音器、方向指示器等 |
[1] 各スイッチ類を操作して作動の適否及び取付け状態の適否を調べる。 |
[1] 正常に作動し、取付け状態が適正であること。 |
|
(7)計器類 |
エンジンを作動させ、各計器の作動状態を調べる。 |
正常に作動すること。 |
|
(8)後写鏡及び反射鏡 |
汚れ及び損傷の有無並びに写影の状態を調べる。 |
汚れ又は損傷がなく、写影が正常であること。 |
|
(9)レバーロック |
ロックの効き具合並びに損傷及び変形の有無を調べる。 |
効きが正常で、損傷又は変形がないこと。 |
|
(10)荷台降下防止装置 |
[1] 荷台を上げて装置の取付け状態を調べる。 |
[1] 確実に取り付けられていること。 |
|
(11)給油脂 |
[1] 各部の給油脂状態を調べる。 |
[1] 給油脂が十分であること。 |
8.2 総合テスト
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
8.2.1 |
走行及び荷役装置の操作を行い、機能を調べる。 |
各装置が正常に作動し、異音、異常振動又は異常発熱がないこと。 |