img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

公示:可搬型ゴンドラの設置の安全基準に関する技術上の指針

 

可搬型ゴンドラの設置の安全基準に関する技術上の指針

昭和61年6月9日技術上の指針公示第14号

 

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第28条第1項の規定に基づき、可搬型ゴンドラの設置の安全基準に関する技術上の指針を次のとおり公表する。

 

可搬型ゴンドラの設置の安全基準に関する技術上の指針

1 総則

 1-1 趣旨

この指針は、可搬型ゴンドラの使用時等における落下等による災害を防止するため、可搬型ゴンドラの設置に関する留意事項について定めたものである。

 1-2 定義

この指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 可搬型ゴンドラ労働安全衛生法施行令第1条第11号に規定するゴンドラのうち、建造物の工事等のため一定期間設置されるものをいう。

(2) 躯(く)体部分等建造物の躯(く)体部分及びその付属物のうち、ゴンドラを設置する際に利用するパラペット、ひさし、丸環等をいう。

(3) つり下げワイヤロープ可搬型ゴンドラの作業床をつり下げるためのワイヤロープであって、当該作業床に取り付けられるものをいう。

(4) 台付けワイヤロープつり下げワイヤロープの一端を固定するためのワイヤロープで、躯(く)体部分等に取り付けられるものをいう。

(5) アーム台つり下げワイヤロープを掛けるためのアームを有する台をいう。

(6) 上部支持金具つり下げワイヤロープを取り付けるためのフック状の金具であって、パラペット又はひさしに掛けて当該ワイヤロープの端を固定するものをいう。

(7) 跨(こ)座式突りょうパラペット等に設置し、つり下げワイヤロープを掛け渡す突りょうであって、可搬型ゴンドラの作業床と建造物の壁面等との間隔を一定に保つためのものをいう。

(8) 補助ロープ上部支持金具又は跨(こ)座式突りょうが落下しないように建造物に緊結するロープをいう。

2 設置

事業者は、可搬型ゴンドラの設置に当たっては、次の事項について留意すること。

 2-1 躯(く)体部分等

可搬型ゴンドラを設置する躯(く)体部分等は、次に定めるところによること。

(1) 十分な強度が確認されていること。

(2) 変形、き裂、腐食等がないこと。

 2-2 上部支持金具等

  2-2-1 上部支持金具

(1) 上部支持金具は、次に定めるところによること。

イ 種類及び寸法が設置場所に適していること。

ロ 変形、き裂、腐食等がないこと。

(2) 上部支持金具の躯(く)体部分等への取付けは、次に定めるところによること。

イ 躯(く)体部分等の状況に応じて、上部支持金具は、次の表の上欄に掲げる種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる使用方法の例により確実に取り付けること。(表)

表

ロ 取付け間隔は、可搬型ゴンドラのつり心間隔に等しくすること。

ハ 補助ロープは、建造物に緊結すること。

(3) その他

上部支持金具により躯(く)体部分等が損傷するおそれのある場合は、当該躯(く)体部分等を補強材で補強し、当該補強材は躯(く)体部分等に確実に固定すること。

  2-2-2 台付けワイヤロープ

(1) 台付けワイヤロープは、次に定めるところによること。

イ 取付けに適した長さであること。

ロ 十分な強度を有すること。

ハ 素線の切断、直径の減少、キンク、形崩れ又は腐食がないこと。

ニ 端末処理に異常がないこと。

(2) 台付けワイヤロープの躯(く)体部分等への取付けは、次に定めるところによること。

イ 使用中に緩まない方法とすること。

ロ 台付けワイヤロープの端と端との接続は、シャックルを用いて確実に行うこと。

ハ 台付けワイヤロープが建造物の角等に接触する場合には、ゴム、布等を用いて当該台付けワイヤロープを保護すること。

ニ 丸環への取付けは原則として避けること。やむを得ず丸環に取り付ける場合は、丸環の強度を確認の上、台付けワイヤロープを複数の丸環に渡し掛けして取り付けること。

  2-2-3 アーム台

(1) アーム台は、次に定めるところによること。

イ 種類及び寸法が設置場所に適したものであること。

ロ 変形、き裂、腐食等がないこと。

(2) アーム台の組立ては、次に定めるところによること。

イ 可搬形ゴンドラの組立図に定められた手順により確実に行うこと。

ロ ボルトの締付けは、十分に行うこと。

ハ カウンタウェイトは、所定の位置に確実に固定すること。

(3) アーム台により、躯(く)体部分等が損傷するおそれのある場合は、当該躯(く)体部分等を補強材で補強し、当該補強材は躯(く)体部分等に確実に固定すること。

 2-3 跨(こ)座式突りょう

(1) 跨(こ)座式突りょうは、次に定めるところによること。

イ 形状及び寸法が設置場所に適したものであること。

ロ 変形、き裂、腐食等がないこと。

(2) 跨(こ)座式突りょうの躯(く)体部分等への取付けは、次に定めるところによること。

イ 跨(こ)座式突りょうの爪及び座が全幅に渡って躯(く)体部分等に接するようにすること(下図参照)。

図

ロ 取付け間隔は、可搬型ゴンドラのつり心間隔に等しくすること。

ハ 補助ロープは、建造物に緊結すること。

(3) その他

跨(こ)座式突りょうにより躯(く)体部分等が損傷するおそれのある場合は、当該躯(く)体部分等を補強材で補強し、当該補強材は躯(く)体部分等に確実に固定すること。

 2-4 つり下げワイヤロープ

(1) つり下げワイヤロープは、次に定めるところによること。

イ 種類及び直径がゴンドラ明細書に記載されたものであること。

ロ 素線の切断、直径の減少、キンク、形崩れ又は腐食がないこと。

ハ 取付けに適した長さであること。

ニ 端末処理に異常がないこと。

(2) 上部支持金具等への取付けは、次に定めるところによること。

イ 上部支持金具又は台付けワイヤロープへの取付けは、シャックルを用いて確実に行うこと。

ロ 1個の上部支持金具又は1本の台付けワイヤロープに対し、複数のつり下げワイヤロープを取り付けないこと。

ハ 上部支持金具等が安定状態となるようにすること(下図参照)。

図

(3) 跨(こ)座式突りょうへの掛け渡しは、次に定めるところによること。

イ 跨(こ)座式突りょうの水平材及び垂直材に確実に掛け渡すこと。

ロ 跨(こ)座式突りょうが安定状態となるようにすること。

(4) その他

イ つり下げワイヤロープの作業床部分への取付けは、確実に行うこと。

ロ つり下げワイヤロープが建造物の角等に接触する場合には、ゴム布等を用いて当該つり下げワイヤロープを保護すること。

ハ つり下げワイヤロープが溶接作業等により損傷するおそれのある場合は、保護管等を用いて当該つり下げワイヤロープを保護すること。

ニ つり下げワイヤロープの抜け止め措置は、確実に行うこと。

 2-5 その他

  2-5-1 キャブタイヤケーブル

(1) キャブタイヤケーブルは、作業床の手すり等に固定し、かつ、コネクター等に無理な力が掛からないようにすること。

(2) キャブタイヤケーブルが建造物の角等に接触する場合には、ゴム、布等を用いて当該キャブタイヤケーブルを保護すること。

  2-5-2 シャックル等

シャックル及びターンバックルは、次に定めるところによること。

(1) 十分な強度を有すること。

(2) 変形、き裂、腐食等がないこと。

  2-5-3 ライフライン等

(1) ライフライン及びつかみ金具は、次に定めるところによること。

イ ライフラインの種類、直径、長さ及び取付け本数が適切であること。

ロ 損傷がないこと。

ハ つかみ金具の作動が正常であること。

(2) ライフラインの上端の取付けは、次に定めるところによること。

イ つり下げワイヤロープの取付けと互いに独立した取付けとすること。

ロ ライフラインが建造物の角等に接触する場合には、ゴム、布等を用いて当該ライフラインを保護すること。

3 検査

事業者は、可搬型ゴンドラを設置した後、次の事項について検査を行うこと。

(1) 次の各部の状態の適否

イ 上部支持金具、台付けワイヤロープ、跨(こ)座式突りょう及びライフラインの躯(く)体部分等への取付け状態

ロ つり下げワイヤロープの上部支持金具、台付けワイヤロープ、跨(こ)座式突りょう及び作業床部分への取付け状態

ハ シャックル、クリップ等の締付け状態

ニ 補助ロープの取付け状態

ホ アーム台の組立て状態

ヘ 作業床の組立て状態

ト キャブタイヤケーブルの固定状態及びコネクター類の接続状態

チ 保護材及び補強材の取付け状態

リ つり下げワイヤロープの抜け止めの取付け状態

(2) 次の各部の作動状態又は機能の適否

イ 操作盤及び昇降装置の作動状態

ロ 作業床の水平度調整機能

ハ 巻過防止装置の作動状態

ニ ブレーキ及び加速防止装置の作動状態

ホ 非常停止装置及び手動昇降装置の作動状態

ヘ 漏電防止装置の作動状態

4 その他

(1) 可搬型ゴンドラの設置作業の開始から取りはずし作業の終了までの間、地上等及び屋上等において、関係者以外の者の立入りを禁止するための措置が確実に講ぜられていること。

(2) 電線等の充電電路であって、労働者が接触し、又は接近することにより感電の危険を生ずるおそれのあるものについて、感電を防止するための措置が確実に講ぜられていること。