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告示:防じんマスクの規格

 

防じんマスクの規格

制 定 昭和六十三年三月三十日労働省告示第十九号

最終改正 令和五年三月二十七日厚生労働省告示第八十八号

 

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、防じんマスクの規格を次のように定める。

 

防じんマスクの規格

 

(防じんマスク等の種類)

第一条 労働安全衛生法別表第二第八号に掲げる防じんマスク(以下「防じんマスク」という。)は、次の表の下欄に掲げる形状により、それぞれ同表の上欄に掲げる種類に区分するものとする。

種 類

形 状

取替え式防じんマスク



吸気補助具付き防じんマスク

隔離式防じんマスク

吸気補助具、ろ過材、連結管、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材によつて粉じんをろ過した清浄空気を吸気補助具の補助により連結管を通して吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの

直結式防じんマスク

吸気補助具、ろ過材、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材によつて粉じんをろ過した清浄空気を吸気補助具の補助により吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの

吸気補助具付き防じんマスク以外のもの

隔離式防じんマスク

ろ過材、連結管、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材によつて粉じんをろ過した清浄空気を連結管を通して吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの

直結式防じんマスク

ろ過材、吸気弁、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材によつて粉じんをろ過した清浄空気を吸気弁から吸入し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの

使い捨て式防じんマスク

一体となつたろ過材及び面体並びにしめひもからなり、かつ、ろ過材によつて粉じんをろ過した清浄空気を吸入し、呼気はろ過材(排気弁を有するものにあつては排気弁を含む。)から外気中に排出するもの

2 防じんマスクの面体は、次の表の下欄に掲げる形状により、それぞれ同表の上欄に掲げる種類に区分するものとする。

種 類

形 状

全面形

顔面全体を覆うもの

半面形

鼻及び口辺のみを覆うもの

3 防じんマスクは、その性能により、取替え式防じんマスクにあつてはRS一、RS二、RS三、RL一、RL二及びRL三に、使い捨て式防じんマスクにあつてはDS一、DS二、DS三、DL一、DL二及びDL三に区分するものとする。

 

(材料)

第二条 防じんマスクの各部に使用する材料は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。

一 顔面に密着する部分については、皮膚に障害を与えないものであること。

二 ろ過材については、人体に障害を与えないものであること。

三 通常の取扱いにおいて、亀裂、変形その他の異常を生じないものであること。

 

(強度に係る試験)

第三条 防じんマスクの各部は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、同表の中欄に掲げる試験方法による試験を行つた場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

区 分

試験方法

条 件

しめひも取付部分及びしめひも

(引張試験)

しめひも取付部分及びしめひもごとに、全面形の面体を有する取替え式防じんマスクにあつては五〇ニュートン、半面形の面体を有する取替え式防じんマスクにあつては二五ニュートン、使い捨て式防じんマスクにあつては一〇ニュートンの引張荷重をかけ、破断又は離脱の有無を調べる。

いずれも破断又は離脱しないこと。

隔離式防じんマスクの連結管取付部分及び連結管

(引張試験)

連結管取付部分及び連結管に、九八ニュートンの引張荷重をかけ、破断又は離脱の有無を調べる。

破断又は離脱しないこと。

 

(構造)

第四条 防じんマスクの構造は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。

一 容易に破損しないものであること。

二 装着が簡単で、装着したときに異常な圧迫感又は苦痛を与えないものであること。

三 死積が著しく大きいものでないこと。

四 着用者の視野を著しく妨げるものでないこと。

五 全面形の面体を有するものにあつては、呼気によりアイピースが曇らないものであること。

六 取替え式防じんマスクにあつては、ろ過材、吸気弁、排気弁及びしめひもが容易に取り替えることができるものであること。

七 取替え式防じんマスクにあつては、着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を随時容易に検査できるものであること。

八 使い捨て式防じんマスクにあつては、一体となつたろ過材及び面体が使用限度時間中に型くずれをしないものであること。

九 使い捨て式防じんマスクにあつては、漏れ率及びぬれ抵抗値が著しく大きいものでないこと。

十 使い捨て式防じんマスクであつて、ろ過材を成形して面体とするものにあつては、ろ過材を顔面に適合するように成形すること。

 

第五条 防じんマスクの各部の構造は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

区 分

条 件

吸気補助具

水、粉じん等の侵入によりその機能に障害を生ずるおそれがないこと。

吸気弁

通常の呼吸に対して、鋭敏に作動すること。

排気弁

一 通常の呼吸に対して、弁及び弁座の乾湿の状態にかかわらず、確実に、かつ、鋭敏に作動すること。

二 内部と外部の圧力が平衡している場合に、面体の向きにかかわらず、閉鎖状態を保つこと。

三 外力による損傷が生じないように覆い等により保護されていること。

しめひも

一 適当な長さ及び弾力性を有すること。

二 長さを容易に調節することができること。ただし、使い捨て式防じんマスクにあつては、顔面への密着性が保持できるときには、この限りでない。

連結管

一 適度な伸縮性を有し、種々の状態に曲げても通気に支障が生じないこと。

二 あご、腕等による圧迫があつた場合でも通気に支障が生じないこと。

三 首の運動に支障が生じないような長さであること。

 

(性能に係る試験)

第六条 防じんマスクの性能は、次の表の上欄に掲げる試験方法による試験を行つた場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合するものでなければならない。

試験方法 条 件

(粒子捕集効率試験)

次の各号に掲げる試験粒子の種類に応じて、試験粒子の濃度を測定し、次の式により粒子捕集効率を算定する。なお、粒径分布の中央値については、粒子数を基準にした中央値とする。

粒子捕集効率(パーセント)=((通過前の試験粒子の濃度(ミリグラム毎立方メートル)-通過後の試験粒子の濃度(ミリグラム毎立方メートル))/通過前の試験粒子の濃度(ミリグラム毎立方メートル))×100

 

一 試験粒子が塩化ナトリウムの場合

粒子捕集効率測定器に装着した防じんマスク(吸気補助具付き防じんマスクにあつては、吸気補助具を停止させたもの。以下この表において同じ。)の内側へ、塩化ナトリウム含有空気(塩化ナトリウムの粒径分布の中央値が〇・〇六マイクロメートル以上〇・一マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が一・八以下であつて、かつ、塩化ナトリウムの濃度が一立方メートル当たり五〇ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下のものをいう。以下同じ。)を毎分八五リットルの流量で通じ、ろ過材に供給される塩化ナトリウムが一〇〇ミリグラムに達するまでの経過において、防じんマスク通過前及び通過後の塩化ナトリウムの濃度を散乱光方式による塩化ナトリウム濃度測定器により連続的に測定する

一 試験粒子が塩化ナトリウムの場合

粒子捕集効率が、常に次の表の上欄に掲げる防じんマスクの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。

表

二 試験粒子がフタル酸ジオクチルの場合

粒子捕集効率測定器に装着した防じんマスクの内側へ、フタル酸ジオクチル含有空気(フタル酸ジオクチルのミストの粒径分布の中央値が〇・一五マイクロメートル以上〇・二五マイクロメートル以下で、その幾何標準偏差が一・六以下であつて、かつ、フタル酸ジオクチルの濃度が一立方メートル当たり一〇〇ミリグラム以下で、その変動がプラスマイナス一五パーセント以下のものをいう。)を毎分八五リットルの流量で通じ、ろ過材に供給されるフタル酸ジオクチルが二〇〇ミリグラムに達するまでの経過において、防じんマスク通過前及び通過後のフタル酸ジオクチルの濃度を散乱光方式によるフタル酸ジオクチル濃度測定器により連続的に測定する。

二 試験粒子がフタル酸ジオクチルの場合

粒子捕集効率が、常に次の表の上欄に掲げる防じんマスクの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること

表

(吸気抵抗試験)

通気抵抗試験器に装着した防じんマスクの内側へ空気を毎分四〇リットルの流量で通じた場合における内外の圧力差(以下この表において「吸気抵抗」という。)を測定する。

吸気抵抗が、次の表の上欄に掲げる防じんマスクの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下であること。

表

(排気抵抗試験)

通気抵抗試験器に装着した防じんマスクの外側へ空気を毎分四〇リットルの流量で通じた場合における内外の圧力差(以下この表において「排気抵抗」という。)を測定する。

排気抵抗が、次の表の上欄に掲げる防じんマスクの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下であること。

表

(排気弁の作動気密試験)(排気弁を有する防じんマスクに限る。)

気密試験器に排気弁を装着し、空気を毎分一リットルの流量で吸引して排気弁の閉鎖による内部の減圧状態を調べ、次に内部の圧力を外部の圧力より一四七〇パスカル低下させて放置し、内部の圧力が常圧に戻るまでの時間を測定する。この場合において、気密試験器の内容積は、五〇立方センチメートルとする。

 

一 空気を吸引した場合に直ちに内部が減圧すること。

二 内部の圧力が常圧に戻るまでの時間が一五秒以上であること。

(二酸化炭素濃度上昇値試験)

摂氏二五度プラスマイナス五度の室内において、次の図に示す寸法の試験用人頭(以下「試験用人頭」という。)の顔面部に防じんマスクを装着した状態及び装着しない状態で、呼吸模擬装置により一回当たり二・〇リットルプラスマイナス〇・一リットルの正弦波形の空気(呼気における空気にあつては、二酸化炭素の濃度が五・〇パーセントのものとする。)を毎分一五回、試験用人頭を通じて吸排気させながら、二酸化炭素濃度測定器により吸気における二酸化炭素の濃度(以下この表において「二酸化炭素濃度」という。)が一定となるまで測定する。

試験用人頭図(単位 ミリメートル)

図

防じんマスクを装着した状態における二酸化炭素濃度と防じんマスクを装着しない状態における二酸化炭素濃度の差が、一・〇パーセント以下の値であること。

 

(表示等)

第七条 防じんマスクは、見やすい箇所に次に定める事項が表示されているものでなければならない。

一 製造者名

二 製造年月

三 型式の名称

四 使用限度時間(使い捨て式防じんマスクに限る。)

2 防じんマスクは、譲渡又は貸与される場合には、次に掲げる事項を記載した印刷物が添付されたものでなければならない。

一 使用の範囲

二 使用上の注意事項

三 吸気抵抗上昇値

四 騒音の程度(吸気補助具付き防じんマスクに限る。以下「騒音レベル」という。)

五 漏れ率(使い捨て式防じんマスクに限る。)

六 ぬれ抵抗値(使い捨て式防じんマスクに限る。)

七 着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を容易に検査する方法

3 前項の吸気抵抗上昇値、騒音レベル、漏れ率及びぬれ抵抗値は、それぞれ次の各号に定める方法により測定するものとする。ただし、厚生労働省労働基準局長が認める方法によるときは、この限りでない。

一 吸気抵抗上昇値

粒子捕集効率測定器に装着した防じんマスクの内側へ塩化ナトリウム含有空気を通じ、防じんマスクに塩化ナトリウムが一〇〇ミリグラム捕集された時の内外の圧力差を毎分四〇リットルの流量で測定する。

二 騒音レベル

試験用人頭に吸気補助具付き防じんマスクを装着し、通気抵抗試験器を接続して吸気補助具付き防じんマスクの内側へ空気を毎分四〇リットルの流量で通じ、試験用人頭の左右の耳部における騒音レベルを測定する。この場合において、手動により流量を調節する機能を有する吸気補助具付き防じんマスクにあつては、最大の風量に設定するものとする。

三 漏れ率

塩化ナトリウムエアロゾル含有空気(塩化ナトリウムエアロゾルの数量中位径が約〇・五マイクロメートルであつて、かつ、濃度が一立方メートル当たり一〇ミリグラムプラスマイナス二ミリグラムのものをいう。以下この号において同じ。)中において、次の表の上欄に掲げる唇の幅及び同表の中欄に掲げる鼻根おとがい距離に応じて、それぞれ、同表の下欄に掲げる人数の被験者に使い捨て式防じんマスクを装着させて毎分一〇回の呼吸を三分間行わせ各人の使い捨て式防じんマスクの死積内の塩化ナトリウム濃度を測定するとともに、塩化ナトリウムエアロゾル含有空気中の塩化ナトリウム濃度を測定し、次の式により漏れ率を算定する。

漏れ率(パーセント)=((試験時間中の死積内の塩化ナトリウム濃度の平均値×2(ミリグラム毎立方メートル))/塩化ナトリウムエアロゾル含有空気中の塩化ナトリウム濃度(ミリグラム毎立方メートル))×100

唇の幅(単位 センチメートル)

鼻根おとがい距離(単位 センチメートル)

人 数

三・五以上 四・五未満

一〇・五以上 一一・五未満

三・五以上 四・五未満

一一・五以上 一二・五未満

三・五以上 四・五未満

一二・五以上 一三・五未満

四・五以上 五・五未満

一〇・五以上 一一・五未満

四・五以上 五・五未満

一一・五以上 一二・五未満

四・五以上 五・五未満

一二・五以上 一三・五未満

四・五以上 五・五未満

一三・五以上 一四・五未満

五・五以上 六・五未満

一一・五以上 一二・五未満

五・五以上 六・五未満

一二・五以上 一三・五未満

五・五以上 六・五未満

一三・五以上 一四・五未満

四 ぬれ抵抗値

摂氏二五度プラスマイナス五度の室内において、試験用人頭の顔面部又は通気抵抗測定装着具の適切な位置に装着した使い捨て式防じんマスクに水蒸気で飽和した摂氏四〇度の空気を毎分三〇リットルの流量で十分間通じた後、使い捨て式防じんマスクの内外の圧力差を測定する。

 

(適用除外)

第八条 特殊な材料、構造若しくは性能の防じんマスク又は特殊な場所で用いられる防じんマスクであつて、第一条から第六条までの規定を適用することが適当でないものについて、厚生労働省労働基準局長がこの規格に適合する防じんマスクと同等以上の効力があると認めた場合は、この告示の関係規定は、適用しない。

 

附 則

1 この告示は、昭和六十三年四月一日から適用する。

2 防じんマスクの規格(昭和五十八年労働省告示第八十四号)は、廃止する。

3 昭和六十三年四月一日前の申請に係る防じんマスクの型式についての労働安全衛生法第四十四条の二第一項又は第二項の検定の基準となる機械等検定規則(昭和四十七年労働省令第四十五号)第八条第一項第一号の規格については、なお従前の例による。

 

附 則(平成九年一〇月一日労働省告示第一二〇号)

1 この告示は、公布の日から適用する。ただし、第三条の改正規定並びに第六条の表吸気抵抗試験の項及び排気抵抗試験の項の改正規定は、平成十年一月一日から適用する。

2 平成十年一月一日前の申請に係る防じんマスクに対する第三条並びに第六条の表吸気抵抗試験の項及び排気抵抗試験の項の規定の適用については、なお従前の例による。

 

附 則(平成一二年九月一一日労働省告示第八八号)

1 この告示は、平成十二年十一月十五日から適用する。

2 平成十二年十一月十五日前の申請に係る防じんマスク又は防毒マスクの型式についての労働安全衛生法第四十四条の二の検定の基準となる規格については、なお従前の例による。

 

附 則(平成一二年一二月二五日労働省告示第一二〇号 抄)

(適用期日)

第一 この告示は、内閣法の一部を改正する法律(平成十二年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から適用する。

 

改正文(平成一五年一二月一九日厚生労働省告示第三九四号 抄)

 平成十六年三月三十一日から適用する。

 

改正文・附則 (平成三〇年四月二五日厚生労働省告示第二一四号 抄)

① 平成三十年五月一日から適用する。

(経過措置)

1 この告示の適用の日において、現に製造している吸気補助具付き防じんマスク又は現に存する吸気補助具付き防じんマスクの規格については、なお従前の例による。

2 前項の規定は、同項に規定する吸気補助具付き防じんマスク又はその部分がこの告示による改正後の防じんマスクの規格に適合するに至った後における当該吸気補助具付き防じんマスク又はその部分については、適用しない。

 

附 則(令和五年三月二七日厚生労働省告示第八八号 抄)

この告示は、令和五年十月一日から適用する。ただし<編注:後略>