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動力プレス機械構造規格
制 定 昭和五十二年十二月二十六日労働省告示第百十六号
最終改正 令和元年六月二十八日厚生労働省告示第四十八号
労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、動力プレス機械構造規格を次のように定める。
動力プレス機械構造規格
目次
第一章 構造及び機能(第一条―第八条)
第二章 電気系統(第九条―第十五条)
第三章 機械系統(第十六条―第三十二条)
第四章 液圧系統(第三十三条―第三十五条)
第五章 安全プレス(第三十六条―第四十五条)
第六章 雑 則(第四十六条・第四十七条)
第一章 構造及び機能
(一行程一停止機構)
第一条 労働安全衛生法別表第二第十一号の動力により駆動されるプレス機械(以下「動力プレス」という。)は、一行程一停止機構を有するものでなければならない。ただし、身体の一部が危険限界に入らない構造の動力プレスにあっては、この限りでない。
(急停止機構)
第二条 動力プレスは、急停止機構を有するものでなければならない。ただし、次の各号に掲げる動力プレスにあっては、この限りでない。
一 身体の一部が危険限界に入らない構造の動力プレス
二 第三十七条のインターロックガード式の安全プレス(同条第二号ただし書の構造のものを除く。)
2 急停止機構を有する動力プレスは、当該急停止機構が作動した場合は再起動操作をしなければスライドが作動しない構造のものでなければならない。
(非常停止装置)
第三条 急停止機構を有する動力プレスは、非常時に即時にスライドの作動を停止することができる装置(以下「非常停止装置」という。)を備え、かつ、当該非常停止装置が作動した場合はスライドを始動の状態にもどした後でなければスライドが作動しない構造のものでなければならない。
(非常停止装置の操作部)
第四条 非常停止装置の操作部は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 赤色で、かつ、容易に操作できるものであること。
二 操作ステーションごとに備えられ、かつ、アプライトがある場合にあっては当該アプライトの前面及び後面に備えられているものであること。
(寸動機構)
第五条 急停止機構を有する動力プレスは、寸動機構を有するものでなければならない。
(安全ブロック等)
第六条 動力プレスは、スライドが不意に下降することを防止することができる安全ブロック又はスライドを固定する装置(以下「安全ブロック等」という。)を備え、かつ、当該安全ブロック等の使用中はスライドを作動させることができないようにするためのインターロック機構を有するものでなければならない。
2 安全ブロック等は、スライド及び上型の自重を支えることができるものでなければならない。
(プレスの起動時等の危険防止)
第七条 動力プレスは、その電源を入れた後、当該動力プレスのスライドを作動させるための操作部を操作しなければスライドが作動しない構造のものでなければならない。
2 動力プレスのスライドを作動させるための操作部は、接触等によりスライドが不意に作動することを防止することができる構造のものでなければならない。
3 連続行程を備える動力プレスは、行程の切替えスイッチの誤操作によって意図に反した連続行程によるスライドの作動を防止することができる機能を有するものでなければならない。ただし、身体の一部が危険限界に入らない構造の動力プレスにあっては、この限りでない。
(切替えスイッチ)
第八条 動力プレスに備える行程の切替えスイッチ及び操作の切替えスイッチは、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。ただし、第一号の規定は、第三十六条第二項に規定する切替えスイッチについては、適用しない。
一 キーにより切り替える方式のもので、当該キーをそれぞれの切替え位置で抜き取ることができるものであること。
二 それぞれの切替え位置で確実に保持されるものであること。
三 行程の種類及び操作の方法が明示されているものであること。
第二章 電気系統
(表示ランプ等)
第九条 動力プレスは、運転可能の状態を示すランプ等を備えているものでなければならない。
(防振措置)
第十条 動力プレスのリレー、トランジスター等の電気部品の取付け部又は制御盤及び操作盤と動力プレスの本体との取付け部は、防振措置が講じられているものでなければならない。
(電気回路)
第十一条 動力プレスの主電動機の駆動用電気回路は、停電後通電が開始されたときには再起動操作をしなければ主電動機が駆動しないものでなければならない。ただし、身体の一部が危険限界に入らない構造の動力プレスにあっては、この限りでない。
2 動力プレスの制御用電気回路及び操作用電気回路は、リレー、リミットスイッチ等の電気部品の故障、停電等によりスライドが誤作動するおそれのないものでなければならない。ただし、身体の一部が危険限界に入らない構造の動力プレスにあっては、この限りでない。
(操作用電気回路の電圧)
第十二条 動力プレスの操作用電気回路の電圧は、百五十ボルト以下でなければならない。
(外部電線)
第十三条 動力プレスに使用する外部電線は、日本産業規格C三三一二(六〇〇Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル)に定める規格に適合するビニルキャブタイヤケーブル又はこれと同等以上の絶縁効力、耐油性、強度及び耐久性を有するものでなければならない。
(主要な電気部品)
第十四条 動力プレスの制御用電気回路及び操作用電気回路のリレー、リミットスイッチその他の主要な電気部品は、当該動力プレスの機能を確保するための十分な強度及び寿命を有するものでなければならない。
2 動力プレスに設けるリミットスイッチ等は、不意の接触等を防止し、かつ、容易にその位置を変更できない措置が講じられているものでなければならない。
(電気回路の収納箱等)
第十五条 動力プレスの制御用電気回路及び操作用電気回路が収納されている箱は、水、油若しくは粉じんの侵入又は外力によりこれらの電気回路の機能に障害を生ずるおそれのない構造のものでなければならない。
2 前項の箱から露出している充電部分は、絶縁覆いが設けられているものでなければならない。
第三章 機械系統
(ばね)
第十六条 動力プレスに使用するばねであってその破損、脱落等によってスライドが誤作動するおそれのあるものは、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 圧縮型のものであること。
二 ロッド、パイプ等に案内されるものであること。
(ボルト等)
第十七条 動力プレスに使用するボルト、ナット等であってその緩みによってスライドの誤作動、部品の脱落等のおそれのあるものは、緩み止めが施されているものでなければならない。
2 動力プレスに使用するピンであってその抜けによってスライドの誤作動、部品の脱落等のおそれのあるものは、抜け止めが施されているものでなければならない。
(ストローク数)
第十八条 機械プレスのストローク数は、次の表の上欄に掲げる機械プレスの種類及び同表の中欄に掲げる圧力能力に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げるストローク数以下でなければならない。
機械プレスの種類 |
圧力能力(単位 キロニュートン) |
ストローク数(単位 毎分ストローク数) |
スライディングピンクラッチ付きプレス(以下「ピンクラッチプレス」という。) |
二〇〇以下 |
一五〇 |
二〇〇を超え三〇〇以下 |
一二〇 |
|
三〇〇を超え五〇〇以下 |
一〇〇 |
|
五〇〇を超えるもの |
五〇 |
|
ローリングキークラッチ付きプレス(以下「キークラッチプレス」という。) |
二〇〇以下 |
三〇〇 |
二〇〇を超え三〇〇以下 |
二二〇 |
|
三〇〇を超え五〇〇以下 |
一五〇 |
|
五〇〇を超えるもの |
一〇〇 |
(クラッチの材料)
第十九条 クラッチの材料は、次の表の上欄に掲げる機械プレスの種類及び同表の中欄に掲げるクラッチの構成部分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる鋼材でなければならない。
機械プレスの種類 |
クラッチの構成部分 |
鋼材 |
ピンクラッチプレス |
クラッチピン |
日本工業規格G四一〇二(ニッケルクロム鋼鋼材)に定める二種の規格に適合する鋼材 |
クラッチ作動用カム |
日本産業規格G四四〇一(炭素工具鋼鋼材)に定める四種若しくは五種の規格に適合する鋼材又は日本工業規格G四一〇五(クロムモリブデン鋼鋼材)に定める三種の規格に適合する鋼材 |
|
クラッチピン当て金 |
日本産業規格G四四〇四(合金工具鋼鋼材)に定めるS四四種の規格に適合する鋼材又は日本工業規格G四一〇五(クロムモリブデン鋼鋼材)に定める三種の規格に適合する鋼材 |
|
キークラッチプレス |
内側のクラッチリング |
日本工業規格G四一〇二(ニッケルクロム鋼鋼材)に定める二一種の規格に適合する鋼材又は日本産業規格G四〇五一(機械構造用炭素鋼鋼材)に定めるS四〇C、S四三C若しくはS四五Cの規格に適合する鋼材 |
中央のクラッチリング |
日本工業規格G四一〇二(ニッケルクロム鋼鋼材)に定める二一種の規格に適合する鋼材 |
|
外側のクラッチリング |
日本産業規格G四〇五一(機械構造用炭素鋼鋼材)に定めるS四〇C、S四三C又はS四五Cの規格に適合する鋼材 |
|
ローリングキー、クラッチ作動用カム及びクラッチ掛け外し金具 |
日本産業規格G四四〇四(合金工具鋼鋼材)に定めるS四四種の規格に適合する鋼材 |
(クラッチの処理及び硬さ)
第二十条 クラッチは、次の表の第一欄に掲げる機械プレスの種類及び同表の第二欄に掲げるクラッチの構成部分に応じて、それぞれ同表の第三欄に掲げる処理がなされ、及び同表の第四欄に掲げる表面硬さ値を有するものでなければならない。
機械プレスの種類 |
クラッチの構成部分 |
処理 |
表面硬さ値 |
ピンクラッチプレス |
クラッチピン |
焼入れ焼もどし |
五二以上五六以下 |
クラッチ作動用カム |
炭素工具鋼にあっては接触部のみ焼入れ焼もどし クロムモリブデン鋼にあっては浸炭後焼入れ焼もどし |
五二以上五六以下 |
|
クラッチピン当て金 |
合金工具鋼にあっては焼入れ焼もどし クロムモリブデン鋼にあっては浸炭後焼入れ焼もどし |
五四以上五八以下 |
|
キークラッチプレス |
内側のクラッチリング |
焼入れ焼もどし |
二二以上二五以下 |
中央のクラッチリング |
浸炭後焼入れ焼もどし |
五二以上五六以下 |
|
外側のクラッチリング |
焼入れ焼もどし |
二二以上二五以下 |
|
ローリングキー |
焼入れ焼もどし |
五四以上五八以下 |
|
クラッチ作動用カム |
焼入れ焼もどし |
四二以上四五以下 |
|
クラッチ掛け外し金具のうちクラッチ作動用カムに接触する部分 |
焼入れ焼もどし |
四二以上四五以下 |
|
備考 表面硬さ値は、ロックウエルC硬さの値をいう。 |
(クラッチの構造等)
第二十一条 機械プレスのクラッチで空気圧によって作動するものは、ばね緩め型の構造のもの又はこれと同等以上の機能を有する構造のものでなければならない。
第二十二条 機械プレスのクラッチは、フリクションクラッチ式のものでなければならない。ただし、機械プレス(機械プレスブレーキを除く。)であって、第二条第一項各号に掲げるものに該当するものにあっては、この限りでない。
第二十三条 ピンクラッチプレスのクラッチは、クラッチ作動用カムがクラッチピンを戻す範囲を超えない状態でクランク軸の回転を停止させることができるストッパーを備えているものでなければならない。
2 前項のクラッチに使用するブラケットは、その位置を固定するための位置決めピンを備えているものでなければならない。
3 クラッチ作動用カムは、作動させなければ押し戻されない構造のものでなければならない。
4 クラッチ作動用カムの取付け部は、当該カムが受ける衝撃に耐えることができる強度を有するものでなければならない。
(ブレーキ)
第二十四条 機械プレスのブレーキは、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。ただし、第二号の規定は、湿式ブレーキについては、適用しない。
一 バンドブレーキ以外のものであること。
二 ブレーキ面に油脂類が侵入しない構造のものであること。
2 クランク軸等の偏心機構を有する動力プレス(以下「クランクプレス等」という。)で空気圧によってクラッチを作動するもののブレーキは、ばね締め型の構造のもの又はこれと同等以上の機能を有する構造のものでなければならない。
(回転角度の表示計)
第二十五条 クランクプレス等は、見やすい箇所にクランク軸等の回転角度を示す表示計を備えているものでなければならない。ただし、身体の一部が危険限界に入らない構造の動力プレス及び自動プレス(自動的に材料の送給及び加工並びに製品等の排出を行う構造の動力プレスをいう。)にあっては、この限りでない。
(オーバーラン監視装置)
第二十六条 クランク軸等の回転数が毎分三百回転以下のクランクプレス等は、オーバーラン監視装置(クランクピン等がクランクピン等の設定の停止点で停止することができない場合に急停止機構に対しクランク軸等の回転の停止の指示を行うことができる装置をいう。)を備えているものでなければならない。ただし、急停止機構を有することを要しないクランクプレス等又は自動プレスにあっては、この限りでない。
2 前項のオーバーラン監視装置を備えるクランクプレス等は、オーバーラン監視装置により急停止機構が作動した場合は、スライドを始動の状態に戻した後でなければスライドが作動しない構造のものでなければならない。
(クラッチ又はブレーキ用の電磁弁)
第二十七条 空気圧又は油圧によってクラッチ又はブレーキを制御する機械プレスは、次の各号に適合する電磁弁を備えるものでなければならない。ただし、第一号の規定は、身体の一部が危険限界に入らない構造の動力プレスについては、適用しない。
一 複式のものであること。
二 ノルマリクローズド型であること。
三 空気圧により制御するものにあっては、プレッシャーリターン型であること。
四 油圧により制御するものにあっては、ばねリターン型であること。
(過度の圧力上昇防止装置等)
第二十八条 前条の機械プレスは、クラッチ又はブレーキを制御するための空気圧又は油圧が過度に上昇することを防止することができる安全装置を備え、かつ、当該空気圧又は油圧が所要圧力以下に低下した場合に自動的にスライドの作動を停止することができる機構を有するものでなければならない。
(スライドの調節装置)
第二十九条 スライドの調節を電動機で行う機械プレスは、スライドがその上限及び下限を超えることを防止することができる装置を備えているものでなければならない。
(カウンターバランス)
第三十条 機械プレスのスライドのカウンターバランスは、次の各号に適合するものでなければならない。
一 スプリング式のカウンターバランスにあっては、スプリング等の部品が破損した場合に当該部品の飛散を防止することができる構造のものであること。
二 空気圧式のカウンターバランスにあっては、次の要件を満たす構造のものであること。
イ ピストン等の部品が破損した場合に当該部品の飛散を防止することができるものであること。
ロ ブレーキをかけることなくスライド及びその附属品をストロークのいかなる位置においても保持できるものであり、かつ、空気圧が所要圧力以下に低下した場合に自動的にスライドの作動を停止することができるものであること。
(安全プラグ等)
第三十一条 機械プレスブレーキ以外の機械プレスでボルスターの各辺の長さが千五百ミリメートル未満のもの又はダイハイトが七百ミリメートル未満のもの及びプレスブレーキにあっては、第六条の規定にかかわらず、安全ブロック等に代えて安全プラグ又はキーロックとすることができる。
2 前項の安全プラグは、操作ステーションごとに備えられているものでなければならない。
3 第一項のキーロックは、主電動機への通電を遮断することができるものでなければならない。
(サーボプレスの停止機能)
第三十二条 サーボプレスは、スライドを減速及び停止させることができるサーボシステムの機能に故障があった場合に、スライドの作動を停止することができるブレーキを有するものでなければならない。
2 サーボプレスは、前項のブレーキに異常が生じた場合は、スライドの作動を停止し、かつ、再起動操作をしても作動しない構造のものでなければならない。
3 スライドの作動をベルト又はチェーンを介して行うサーボプレスにあっては、ベルト又はチェーンの破損による危険を防止するための措置が講じられているものでなければならない。
第四章 液圧系統
(スライド落下防止装置)
第三十三条 液圧プレスは、スライド落下防止装置を備えていなければならない。ただし、身体の一部が危険限界に入らない構造の液圧プレスにあっては、この限りでない。
(電磁弁)
第三十四条 液圧プレスに備える電磁弁は、ノルマリクローズド型で、かつ、ばねリターン型の構造のものでなければならない。
(過度の液圧上昇防止装置)
第三十五条 液圧プレスは、液圧が過度に上昇することを防止することができる安全装置を備えているものでなければならない。
第五章 安全プレス
(危険防止機能)
第三十六条 動力プレスで、スライドによる危険を防止するための機構を有するもの(以下「安全プレス」という。)は、次の各号のいずれかに該当する機能を有するものでなければならない。
一 スライドの上型と下型との間隔が小さくなる方向への作動中(スライドが身体の一部に危険を及ぼすおそれのない位置にあるときを除く。以下「スライドの閉じ行程の作動中」という。)に身体の一部が危険限界に入るおそれが生じないこと。
二 スライドの閉じ行程の作動中にスライドを作動させるための操作部から離れた手が危険限界に達するまでの間にスライドの作動を停止することができること。
三 スライドの閉じ行程の作動中に身体の一部が危険限界に接近したときにスライドの作動を停止することができること。
2 行程の切替えスイッチ、操作の切替えスイッチ又は操作ステーションの切替えスイッチを備える安全プレスは、当該切替えスイッチが切り替えられたいかなる状態においても前項各号のいずれかに該当する機能を有するものでなければならない。
3 安全プレスの構造は、第一項の機能が損なわれることがないよう、その構造を容易に変更できないものでなければならない。
(インターロックガード式の安全プレス)
第三十七条 インターロックガード式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として前条第一項第一号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいう。)は、寸動の場合を除き、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 ガードを閉じなければスライドが作動しない構造のものであること。
二 スライドの閉じ行程の作動中(フリクションクラッチ式以外のクラッチを有する機械プレスにあっては、スライドの作動中)は、ガードを開くことができない構造のものであること。ただし、ガードを開けてから身体の一部が危険限界に達するまでの間にスライドの作動を停止することができるものにあっては、この限りでない。
(両手操作式の安全プレス)
第三十八条 両手操作式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一項第二号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいう。以下同じ。)は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 スライドを作動させるための操作部を操作する場合には、左右の操作の時間差が〇・五秒以内でなければスライドが作動しない構造のものであること。
二 スライドの閉じ行程の作動中にスライドを作動させるための操作部から手が離れたときはその都度、及び一行程ごとにスライドの作動が停止する構造のものであること。
三 一行程ごとにスライドを作動させるための操作部から両手を離さなければ再起動操作をすることができない構造のものであること。
(両手操作式の安全プレスのスライドを作動させるための操作部)
第三十九条 スライドを作動させるための操作部は、両手によらない操作を防止するための措置が講じられているものでなければならない。
(両手操作式の安全プレスの安全距離)
第四十条 両手操作式の安全プレスのスライドを作動させるための操作部と危険限界との距離(以下この条において「安全距離」という。)は、スライドの閉じ行程の作動中の速度が最大となる位置で、次の式により計算して得た値以上の値でなければならない。
D=1.6(Tl+Ts)
(この式において、D、Tl及びTsは、それぞれ次の値を表すものとする。
D 安全距離(単位 ミリメートル)
Tl スライドを作動させるための操作部から手が離れた時から急停止機構が作動を開始する時までの時間(単位 ミリセカンド)
Ts 急停止機構が作動を開始した時からスライドが停止する時までの時間(単位 ミリセカンド))
(光線式の安全プレス)
第四十一条 光線式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一項第三号の機能を利用する場合における当該安全プレスをいい、第四十五条第一項の制御機能付き光線式の安全プレスを除く。以下同じ。)は、身体の一部が光線を遮断した場合に、当該光線を遮断したことを検出することができる機構(以下「検出機構」という。)を有し、かつ、検出機構が身体の一部が光線を遮断したことを検出した場合に、スライドの作動を停止することができる構造のものでなければならない。
(投光器及び受光器)
第四十二条 光線式の安全プレスの検出機構の投光器及び受光器は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 スライドの作動による危険を防止するために必要な長さにわたり有効に作動するものであること。
二 投光器及び受光器の光軸の数は、二以上とし、かつ、前号の必要な長さの範囲内の任意の位置に遮光棒を置いたときに、検出機構が検出することができる当該遮光棒の最小直径(以下「連続遮光幅」という。)が五十ミリメートル以下であること。
三 投光器は、投光器から照射される光線が、その対となる受光器以外の受光器又はその対となる反射器以外の反射器に到達しない構造のものであること。
四 受光器は、その対となる投光器から照射される光線以外の光線に感応しない構造のものであること。ただし、感応した場合に、スライドの作動を停止させる構造のものにあっては、この限りでない。
(光線式の安全プレスの安全距離)
第四十三条 光線式の安全プレスに備える検出機構の光軸と危険限界との距離(以下この条において「安全距離」という。)は、スライドの閉じ行程の作動中の速度が最大となる位置で、次の式により計算して得た値以上の値でなければならない。
D=1.6(Tl+Ts)+C
(この式において、D、Tl、Ts及びCは、それぞれ次の値を表すものとする。
D 安全距離(単位 ミリメートル)
Tl 手が光線を遮断した時から急停止機構が作動を開始する時までの時間(単位 ミリセカンド)
Ts 急停止機構が作動を開始した時からスライドが停止する時までの時間(単位 ミリセカンド)
C 次の表の上欄に掲げる連続遮光幅に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる追加距離)
連続遮光幅(ミリメートル) |
追加距離(ミリメートル) |
三〇以下 |
〇 |
三〇を超え三五以下 |
二〇〇 |
三五を超え四五以下 |
三〇〇 |
四五を超え五〇以下 |
四〇〇 |
(安全囲い等)
第四十四条 光線式の安全プレスに備える検出機構の光軸とボルスターの前端との間に身体の一部が入り込む隙間がある場合は、当該隙間に安全囲い等を設けなければならない。
(制御機能付き光線式の安全プレス)
第四十五条 制御機能付き光線式の安全プレス(スライドによる危険を防止するための機構として第三十六条第一項第三号の機能を利用する場合における安全プレスであって、検出機構を有し、かつ、身体の一部による光線の遮断の検出がなくなったときに、スライドを作動させる機能を有するものをいう。以下同じ。)は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 検出機構が光線の遮断を検出した場合に、スライドの作動を停止することができる構造のものであること。
二 ボルスター上面の高さが床面から七百五十ミリメートル以上であること。ただし、ボルスター上面から検出機構の下端までに安全囲い等を設け、当該下端の高さが床面から七百五十ミリメートル以上であるものを除く。
三 ボルスターの奥行きが千ミリメートル以下であること。
四 ストローク長さが六百ミリメートル以下であること。ただし、安全囲い等を設け、かつ、検出機構を設ける開口部の上端と下端との距離が六百ミリメートル以下であるものを除く。
五 クランクプレス等にあっては、オーバーラン監視装置の設定の停止点が十五度以内であること。
2 制御機能付き光線式の安全プレスは、検出機構の検出範囲以外から身体の一部が危険限界に達することができない構造のものでなければならない。
3 制御機能付き光線式の安全プレスのスライドを作動させるための機構は、スライドの不意の作動を防止することができるよう、次の各号に定める構造のものでなければならない。
一 キースイッチにより制御機能付き光線式の安全プレスの危険防止機能を選択する構造のものであること。
二 当該機構を用いてスライドを作動させる前に、起動準備を行うための操作を行うことが必要な構造のものであること。
三 三十秒以内に当該機構を用いてスライドを作動させなかった場合には、改めて前号の操作を行うことが必要な構造のものであること。
4 第四十一条から第四十三条までの規定は、制御機能付き光線式の安全プレスについて準用する。この場合において、第四十二条第二号中「五十ミリメートル」とあるのは「三十ミリメートル」と、第四十三条の表は、次のとおり読み替えるものとする。
連続遮光幅(ミリメートル) |
追加距離(ミリメートル) |
一四以下 |
〇 |
一四を超え二〇以下 |
八〇 |
二〇を超え三〇以下 |
一三〇 |
第六章 雑 則
(表示)
第四十六条 動力プレスは、見やすい箇所に次の事項が表示されているものでなければならない。
一 動力プレスの種類及び当該動力プレスが安全プレスである場合にあっては、その種類
二 次の表の上欄に掲げる動力プレスの種類に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げる機械仕様
動力プレスの種類 |
機械仕様 |
機械プレスブレーキ以外の機械プレス |
圧力能力(単位 キロニュートン) ストローク数(単位 毎分ストローク数) ストローク長さ(単位 ミリメートル) ダイハイト(単位 ミリメートル) スライド調節量(単位 ミリメートル) 急停止時間(Tsをいう。以下同じ。)(単位 ミリ秒) 最大停止時間(TlとTsとの合計の時間をいう。以下同じ。)(単位 ミリ秒) オーバーラン監視装置の設定位置(クランクピン等の上死点と設定の停止点との間の角度をいう。以下同じ。) |
機械プレスブレーキ |
圧力能力(単位 キロニュートン) ストローク数(単位 毎分ストローク数) ストローク長さ(単位 ミリメートル) テーブル長さ(単位 ミリメートル) ギャップ深さ(単位 ミリメートル) 急停止時間(単位 ミリ秒) 最大停止時間(単位 ミリ秒) オーバーラン監視装置の設定位置 |
液圧プレスブレーキ以外の液圧プレス |
圧力能力(単位 キロニュートン) ストローク長さ(単位 ミリメートル) スライドの最大下降速度(単位 ミリメートル毎秒) 慣性下降値(単位 ミリメートル) 急停止時間(単位 ミリ秒) 最大停止時間(単位 ミリ秒) |
液圧プレスブレーキ |
圧力能力(単位 キロニュートン) ストローク長さ(単位 ミリメートル) テーブル長さ(単位 ミリメートル) ギャップ深さ(単位 ミリメートル) スライドの最大下降速度(単位 ミリメートル毎秒) 慣性下降値(単位 ミリメートル) 急停止時間(単位 ミリ秒) 最大停止時間(単位 ミリ秒) |
備考 この表において、Tl及びTsは、それぞれ次の値を表すものとする。 Tl 両手操作式の安全プレスにあっては、スライドを作動させるための操作部から手が離れた時から急停止機構が作動を開始する時までの時間(単位 ミリ秒) 光線式の安全プレス及び制御機能付き光線式の安全プレスにあっては、手が光線を遮断した時から急停止機構が作動を開始する時までの時間(単位 ミリ秒) Ts 急停止機構が作動を開始した時からスライドが停止する時までの時間(単位 ミリ秒) |
三 製造番号
四 製造者名
五 製造年月
(適用除外)
第四十七条 動力プレスで前各章の規定を適用することが困難なものについて、厚生労働省労働基準局長が前各章の規定に適合するものと同等以上の性能があると認めた場合は、この告示の関係規定は、適用しない。
附 則 抄
1 この告示は、昭和五十三年一月一日から適用する。
2 動力プレス機械構造規格(昭和四十六年労働省告示第二号)は、廃止する。
3 昭和五十三年一月一日において、現に製造している動力プレス又は現に存する動力プレスの規格については、なお従前の例による。
改正文(平成一一年九月三〇日労働省告示第一一三号 抄)
平成十一年十月一日から適用する。
附 則(平成一二年一二月二五日労働省告示第一二〇号 抄)
(適用期日)
第一 この告示は、内閣法の一部を改正する法律(平成十二年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から適用する。
改正文(平成一五年一二月一九日厚生労働省告示第三九一号 抄)
平成十六年三月三十一日から適用する。
附 則(平成二三年一月一二日厚生労働省告示第四号)
1 この告示は、平成二十三年七月一日から適用する。
2 この告示の適用の日において、現に製造している動力プレス若しくは現に存する動力プレス又は現に労働安全衛生法第四十四条の二第一項の規定による検定若しくは同法第四十四条の三第二項の規定による型式検定に合格している型式の安全プレス(当該型式に係る型式検定合格証の有効期間内に製造し、又は輸入するものに限る。)の規格については、なお従前の例による。
附 則(令和元年六月二八日厚生労働省告示第四八号 抄)
(適用期日)
1 この告示は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年七月一日)から適用する。