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告示:車両系建設機械構造規格

 

車両系建設機械構造規格

制 定 昭和四十七年十二月四日労働省告示第百五十号

最終改正 平成二十五年四月十二日厚生労働省告示第百四十一号

 

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、車両系建設機械構造規格を次のように定め、昭和四十八年四月一日から適用する。

 

車両系建設機械構造規格

 

(強度等)

第一条 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第十三条第三項第九号に掲げる建設機械(以下「車両系建設機械」という。)の原動機、動力伝達装置、走行装置、作業装置、ブレーキ及び操縦装置は、次に定めるところに適合するものでなければならない。

一 使用の目的に適応した必要な強度を有するものであること。

二 著しい損傷、摩耗、変形又は腐食のないものであること。

 

(安定度)

第二条 ブル・ドーザー、モーター・グレーダー、スクレーパー、スクレープ・ドーザー及びローラーは、原動機及び燃料装置に燃料、冷却水等の全量をとう載し、及び当該建設機械の目的とする用途に必要な設備、装置等を取り付けた状態(以下「無負荷状態」という。)において、水平かつ堅固な面の上で、三十五度(最高走行速度二十キロメートル毎時未満の建設機械又は機械重量(無負荷状態における当該機械の重量をいう。以下同じ。)に対する機械総重量(機械重量、最大積載重量及び五十五キログラムに乗車定員を乗じて得た重量の総和をいう。以下同じ。)の割合が一・二以下の建設機械にあつては、三十度)まで傾けても転倒しない左右の安定度を有するものでなければならない。

2 前項の安定度は、計算によつて算定しても差しつかえない。

 

第三条 くい打機及びくい抜機は、作業時における当該建設機械の安定に関し最も不利となる状態において、水平かつ堅固な面の上で五度まで傾けても転倒しない前後及び左右の安定度を有するものでなければならない。

2 前条第二項の規定は、前項の安定度について準用する。

 

第四条 掘削用機械(履帯式のものを除く。)及び解体用機械(履帯式のものを除く。)は、次に定めるところに適合する後方安定度を有するものでなければならない。

一 ブーム、アーム等の長手方向の中心線を含む鉛直面と当該掘削用機械又は当該解体用機械の走行方向とが直角となるとき 当該ブーム、アーム等が向けられている側の全ての転倒支点にかかる荷重の値の合計が、当該掘削用機械又は当該解体用機械の機械総重量の値の十五パーセント以上の値であること。

二 ブーム、アーム等の長手方向の中心線を含む鉛直面と当該掘削用機械又は当該解体用機械の走行方向とが一致するとき 当該ブーム、アーム等が向けられている側の全ての転倒支点にかかる荷重の値の合計が、当該掘削用機械又は当該解体用機械の機械総重量の値の十五パーセントの値に平均輪距を軸距で除した値を乗じて得た値以上の値であること。

2 履帯式の掘削用機械及び履帯式の解体用機械は、ブーム、アーム等が向けられている側の全ての転倒支点にかかる荷重の値の合計が当該掘削用機械又は当該解体用機械の機械総重量の値の十五パーセント以上の値となる後方安定度を有するものでなければならない。

3 前二項に規定する後方安定度の計算は、当該掘削用機械又は当該解体用機械が次の状態にあるものとして行うものとする。

一 後方安定に関し最も不利となる状態

二 荷重をかけていない状態

三 水平かつ堅固な面の上にある状態

四 アウトリガーを有する掘削用機械又は解体用機械にあつては、当該アウトリガーを使用しない状態

4 解体用つかみ機(次項の特定解体用機械に該当するものを除く。)は、ブーム及びアームが向けられている側の転倒支点における安定モーメントの値をその転倒支点における転倒モーメントの値で除して得た値が一・三三以上である前方安定度を有するものでなければならない。

5 ブーム及びアームの長さの合計が十二メートル以上である解体用機械(第十三条の二及び第十四条第二項において「特定解体用機械」という。)は、ブーム及びアームが向けられている側の転倒支点における安定モーメントの値をその転倒支点における転倒モーメントの値で除して得た値が一・五以上である前方安定度を有するものでなければならない。

6 第三項の規定は、前二項に規定する前方安定度の計算について準用する。この場合において、第三項第一号中「後方安定」とあるのは「前方安定」と、同項第二号中「状態」とあるのは「状態(解体用つかみ機にあつては、その構造及び材料に応じて負荷させることができる最大の荷重をかけた状態)」と読み替えるものとする。

 

(走行用ブレーキ等)

第五条 車両系建設機械(油圧又は空気圧を動力として用いる車両系建設機械で、油圧又は空気圧回路中に制動用のバルブ、レギュレータ等を備えているものを除く。第三項において同じ。)は、走行を制動し、及び停止の状態を保持するためのブレーキを備えているものでなければならない。

2 前項のブレーキのうち走行を制動するためのブレーキ(レール上を走行する車両系建設機械のものを除く。)及び油圧又は空気圧を動力として用いる車両系建設機械で、油圧又は空気圧回路中に制動用のバルブ、レギュレータ等を備えているものの当該制動用のバルブ、レギュレータ等は、次の表の上欄に掲げる最高走行速度の車両系建設機械に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる制動初速度において同表の下欄に掲げる停止距離以内で当該車両系建設機械を停止させることができる性能を有するものでなければならない。

最高走行速度(単位 キロメートル毎時)

制動初速度(単位 キロメートル毎時)

停止距離(単位 メートル)

機械総重量が二〇トン未満の場合

機械総重量が二〇トン以上の場合

三五以上

三五

一四

二〇

二〇以上三五未満

二〇

二〇未満

その最高走行速度

3 第一項のブレーキのうち停止の状態を保持するためのブレーキ(レール上を走行する車両系建設機械のものを除く。)は、無負荷状態の車両系建設機械を五分の一のこう配の床面で停止の状態に保持することができる性能を有するものでなければならない。

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(作業装置用ブレーキ)

第六条 掘削用機械、基礎工事用機械、コンクリートポンプ車及び解体用機械の巻上げ装置、ブーム、アーム等を起伏させるための装置(以下「起伏装置」という。)及びブーム、アーム等を伸縮させるための装置(以下「伸縮装置」という。)は、これらの装置の作動を制動するためのブレーキを備えているものでなければならない。ただし、油圧又は空気圧を動力として用いる掘削用機械、基礎工事用機械、コンクリートポンプ車又は解体用機械の巻上げ装置、起伏装置又は伸縮装置については、この限りでない。

2 前項のブレーキは、次に定めるところに適合するものでなければならない。

一 制動トルクの値(巻上げ装置、起伏装置又は伸縮装置に二以上のブレーキが備えられている場合には、それぞれのブレーキの制動トルクの値を合計した値)は、それぞれ当該建設機械の構造及び材料並びにブーム、アーム等の傾斜角及び長さに応じて負荷させることができる最大の荷重からフツク、バケツト等の荷上げ具の重量に相当する荷重を控除した荷重に相当する荷重の荷を巻き上げたときにおける当該建設機械の巻上げ装置、起伏装置又は伸縮装置のトルクの値の一・五倍以上であること。

二 人力によるブレーキにあつては、次に定めるところによること。

イ 力量及びストロークの値は、次の表の上欄に掲げる操作の方式に応じ、それぞれ、同表の中欄及び下欄に掲げる値以下とすること。

操作の方法

力量(単位 ニュートン)

ストローク(単位 センチメートル)

足踏み式

三〇〇

三〇

手動式

二〇〇

六〇

ロ 歯止め装置又は止め金を備えているものであること。

三 人力によるブレーキ以外のブレーキにあつては、動力が遮断されたときに自動的に作動するものであること。

3 前項第一号の巻上げ装置、起伏装置又は伸縮装置のトルクの値の計算においては、巻上げ装置、起伏装置又は伸縮装置の抵抗はないものとする。ただし、当該巻上げ装置、起伏装置又は伸縮装置に七十五パーセント以下の効率を有するウオーム・ウオーム歯車機構が用いられる場合には、その歯車機構の抵抗により生ずるトルクの値の二分の一の値のトルクに相当する抵抗があるものとすることができる。

 

(走行装置等の操作部分)

第七条 車両系建設機械の走行装置、作業装置及びブレーキの操作部分は、運転のために必要な視界が妨げられず、かつ、運転者が容易に操作できる位置に設けられているものでなければならない。

 

第八条 車両系建設機械は、その走行装置、作業装置及びブレーキの操作部分について、運転者が見やすい箇所に、当該操作部分の機能、操作の方法等その操作に関し必要な事項が表示されているものでなければならない。ただし、運転者が誤つて操作するおそれのない操作部分については、この限りでない。

 

(運転に必要な視界等)

第九条 車両系建設機械は、運転者が安全な運転を行うことができる視界を有するものでなければならない。

2 車両系建設機械の運転者席又は運転補助者席は、振動、衝撃、動揺等により運転者又は運転補助者が容易に転落しない構造のものでなければならない。

3 車両系建設機械(ブレーカを除く。)の運転室の前面に使用するガラスは、安全ガラスでなければならない。

4 ブレーカの運転室は、その前面に、安全ガラスを使用し、又は物体の飛来による危険を防止するための設備を備えているものでなければならない。

5 鉄骨切断機及びコンクリート圧砕機の運転室は、その前面に、物体の飛来による危険を防止するための設備を備えているものでなければならない。

 

(昇降設備)

第十条 運転者席の床面が高さ一・五メートルをこえる位置にある車両系建設機械は、運転者が安全に昇降するための設備を備えているものでなければならない。ただし、運転者が安全に昇降できる構造となつているものについては、この限りでない。

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(アーム等の昇降による危険防止設備)

第十一条 トラクター・ショベル、ずり積機、ドラグ・ショベル及び解体用機械で、運転者席の中心から左右それぞれ七百ミリメートル以内においてアーム等が昇降し、当該アーム等と運転者席、車体等との間に運転者が挟まれるおそれのあるものは、運転者の危険を防止するため、囲い等の設備を備えているものでなければならない。

 

(方向指示器)

第十二条 車両系建設機械は、方向指示器を左右に一個ずつ備えているものでなければならない。ただし、履帯式の車両系建設機械、最高走行速度が十キロメートル毎時未満の車両系建設機械又は最高走行速度が二十キロメートル毎時未満の車両系建設機械で、運転者席若しくはかじ取りハンドルの中心から当該車両系建設機械の最外側までの距離が六十五センチメートル未満であり、かつ、運転室がないものについては、この限りでない。

 

(警報装置)

第十三条 車両系建設機械は、警報装置を備えているものでなければならない。

 

(作業範囲を超えたときの自動停止装置等)

第十三条の二 特定解体用機械(作業範囲(当該特定解体用機械の安定度等に応じて定められた、ブーム及びアームを動かすことができる範囲をいう。以下この条において同じ。)を超えてブーム又はアームが操作されるおそれのあるものに限る。)は、作業範囲を超えてブーム又はアームが操作されたときに、起伏装置及び伸縮装置の作動を自動的に停止させる装置又は警音を発する装置を備えているものでなければならない。

 

(安全弁等)

第十四条 油圧を動力として用いる車両系建設機械の油圧装置は、当該油圧の過度の昇圧を防止するための安全弁を備えているものでなければならない。

2 油圧を動力として用いる特定解体用機械の起伏装置及び伸縮装置は、当該油圧の異常低下によるブーム及びアームの急激な降下等を防止するための逆止め弁を備えているものでなければならない。ただし、第六条第二項第一号及び第三号に適合するブレーキ(人力によるブレーキを除く。)を備えているものにあつては、この限りでない。

 

(表示)

第十五条 車両系建設機械は、運転者の見やすい位置に次の事項が表示されているもの又は運転者が当該事項を容易に確認できる書類が備え付けられているものでなければならない。ただし、第七項の表の上欄に掲げる車両系建設機械以外の車両系建設機械にあつては第四号、コンクリートポンプ車にあつては第五号から第七号まで、ローラー及びレール上を走行する車両系建設機械にあつては第七号に掲げる事項が表示されていないもの又は当該事項に係る書類が備え付けられていないものでも差し支えない。

一 製造者名

二 製造年月又は製造番号

三 機体重量及び機械総重量

四 安定度

五 定格出力

六 最高走行速度

七 平均接地圧

2 バケツト、ジツパー等を有する車両系建設機械は、前項各号に掲げる事項のほか、運転者の見やすい位置に当該バケツト、ジツパー等の容量又は最大積載重量が表示されているもの又は運転者が当該事項を容易に確認できる書類が備え付けられているものでなければならない。

3 取り替えることのできるアタツチメントを有する車両系建設機械は、第一項各号に掲げる事項及び前項に規定する事項のほか、運転者の見やすい位置に当該アタツチメントの重量及び装着することができるアタツチメントの重量が表示されているもの又は運転者が当該事項を容易に確認できる書類が備え付けられているものでなければならない。

4 くい打機は、第一項各号に掲げる事項のほか、運転者の見やすい位置に次の事項が表示されているもの又は運転者が当該事項を容易に確認できる書類が備え付けられているものでなければならない。

一 リーダーの形式、長さ及び重量

二 使用ハンマーの形式及び重量

三 当該くい打機がくい又は矢板を打込むことができる最大の傾斜角度

四 当該くい打機が打込むことができるくい又は矢板の長さ及び重量

5 くい抜機は、第一項各号に掲げる事項のほか、運転者の見やすい位置に次の事項が表示されているもの又は運転者が当該事項を容易に確認できる書類が備え付けられているものでなければならない。

一 リーダーの形式、長さ及び重量

二 当該くい抜機が引き抜くことができる能力

6 コンクリートポンプ車は、第一項各号に掲げる事項のほか、運転者の見やすい位置に最大吐出量及び最大吐出圧力が表示されているもの又は運転者が当該事項を容易に確認できる書類が備え付けられているものでなければならない。

7 第一項第四号の安定度は、次の表の上欄に掲げる車両系建設機械の種類に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる状態において計算した同表の下欄に掲げる方向のものとする。

車両系建設機械の種類

状 態

方 向

ブル・ドーザー

スクレープ・ドーザー

無負荷状態

前後及び左右

モーター・グレーダー

スクレーパー

ローラー

無負荷状態

左右

トラクター・シヨベル

ずり積機

基礎工事用機械

当該車両系建設機械の安定に関し最も不利となる状態

前後及び左右

 

(特殊な構造の車両系建設機械)

第十六条 特殊な構造の車両系建設機械又はその部分で、都道府県労働局長が第一条から前条までの規定に適合するものと同等以上の性能又は効力があると認めたものについては、この告示の関係規定は、適用しない。

 

(適用除外)

第十七条 この告示は、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができる建設機械以外の建設機械については、適用しない。

2 第一条(走行の用に供される原動機、動力伝達装置、走行装置、作業装置、ブレーキ及び操縦装置に係る部分に限る。)、第二条、第五条、第七条(走行装置並びに走行を制動し、及び停止の状態を保持するためのブレーキに係る部分に限る。)、第九条第一項から第三項まで、第十二条及び第十三条の規定は、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の適用を受ける車両系建設機械については、適用しない。

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改正文(平成二年九月二六日労働省告示第五九号 抄)

 平成二年十月一日から適用する。

 

改正文(平成一一年九月三〇日労働省告示第一〇七号 抄)

 平成十一年十月一日から適用する。

 

附 則(平成一二年一月三一日労働省告示第二号 抄)

(適用期日)

第一 この告示は、平成十二年四月一日から適用する。

(経過措置)

第二 この告示の適用前にこの告示による改正前のそれぞれの告示の規定に基づき都道府県労働基準局長が行った行為又はこの告示の適用の際現にこれらの規定に基づき都道府県労働基準局長に対してされている行為は、改正後のそれぞれの告示の相当規定に基づき都道府県労働局長が行った行為又は都道府県労働局長に対してされている行為とみなす。

 

改正文(平成一五年一二月一九日厚生労働省告示第三八七号 抄)

 平成十六年三月三十一日から適用する。

 

附 則(平成二五年四月一二日厚生労働省告示第一四一号 抄)

(適用期日)

第一条 この告示は、平成二十五年七月一日から適用する。

(罰則に関する経過措置)

第三条 この告示の適用の日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。